2ndA‘s編
第十五話〜最後の攻防〜
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た”のだ。
その原因はライが掌に握りこんでいたものにあった。ソレはパラディン用のマガジン。パラディン内に格納されていたものではなく、蒼月の方に格納されていた最後の一つである。
鏃に貫かれ、内部の弾丸に亀裂が入り、カートリッジからは夥しい量の魔力が漏れ始める。
「つぅっ!」
痛みに耐えながらライはへし折るようにマガジンを握りつぶす。ほぼ中央に穴が空いていた為にそれは異音を鳴らしながら拉げた。
すると、内部の薬莢が火花を散らしたのか、それとも圧縮されていた魔力をとうとう抑えきれなくなったのかは定かではないが、カートリッジが魔力的な爆発を生み出す。
瞬間的にマガジン内の弾丸六発分の魔力が辺りを満たし、それは密接していたライと人形を包み込んだ。
しかし、屋外であるためその濃密な魔力はすぐさま霧散するのは自明の理である。
だが、その一瞬がライの活路を生み出す。
「カートリッジ!」
叫ぶように命令を発するライ。
それに応えるよう、パラディンは構え直していた障壁で受け止められていた方の腕にヴァリスを展開、及びカートリッジの装填と排莢をほぼ同時に行う。
そして“先の爆発させた魔力によって一時的に可視化された敵の全障壁”の中で一番密度の低い場所を正面に捉えられるように、ライはその特徴的な魔力による羽を震わせる。
極限に近い集中により、自身の動きが遅くなっていると錯覚する程に、ライの視覚は緩やかな世界を映し出す。
そして、人型に向けていた銃身が狙いである障壁の薄い部分が向いた瞬間、ライはヴァリスの引き金を引いた。
「このまま――――」
言い終える前に、既にパラディンはカートリッジのロードを、そしてライはそれに合わせるように引き金を引いていく。そして障壁の薄かった箇所――――人型にとっては右斜め後方の下方側へと魔力弾が吸い込まれていく。
初弾。着弾で障壁に亀裂を入れるが、その衝撃で銃口がずれる。修正。
次弾。罅の入った障壁と魔力弾が対消滅を起こし、小さい穴を穿つ。
次弾。障壁の穴を通り、人型に着弾。しかし魔力弾は抉り込むだけで起爆せず。
次弾。少し角度を変え着弾。同じく起爆せず。
次弾。また角度を変え着弾。同じく起爆せず。
次弾。抉り込んだ魔力弾に着弾。起爆。
「弾けろ!」
ライの叫びは轟音にかき消され、視界は白く塗りつぶされた。
アースラ・艦橋
艦橋内はとても静かであった。もちろん、今現在の地球の様子や海鳴市の海上で行われている戦闘をモニターし、大型スクリーンで映像と音声を流しているため無音ということはありえない。
静かなのは、言葉を発する人間がおらず、更に言えば先程まで動いていたはずのコンソールを叩いていた指も止まっているためそ
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