異変終了ー日常ー
Part15 不幸の黒と宴会の罠
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尋ねる。
酒蔵庫か……この館なんでもあるなぁ。
……デスソースとかないかな?俺の立派な武器になるのになぁ。
そんな事はともかく、様子のおかしな咲夜は顔を青くしながら、言った。
「それが……異変の時に……ですね……部屋ごと消し飛んでしまったらしく……」
その言葉に全員が固まった。
消し飛んだ……?
酒蔵庫が?
どうやって?
弾幕ごっこは図書館と紅魔館の庭でしか行われていない筈。部屋ごと消し飛ぶなんて……。
「近くにクレーターがありました、まるで『隕石が直撃した後』みたいに……」
「あ」
それって……まさか、あれか?
俺が高速移動中に墜落した時の、あのクレーターか?
なるほど。あの近くに酒蔵庫があったのなら、衝撃波で全部粉々になるよな。
はっはっは。
……嘘だろ……。
フランも気付いたのか、少し咲夜から目線を逸らしている。
よしフラン、そのまま黙っていてくれ。バレたら串刺しに……。
「……そういえば、二日前にフランが言ってたわね」
と、唐突に口を開いたのはパチュリーだった。
「『戦闘中に有波が急に落ちて、すっごい大穴が開いた!!』って……あんまり良く分かんない説明だったから聞き流していたけれど、いま、何となく分かった気がするわ」
全員の視線が俺に集中した。
レミリアからの冷たい目、咲夜からの険しい目、フランからの同情の目、パチュリーからの……あ、本読んでる。
とにかくだ、あれは不可抗力だったのだ。
そう、説明すれば分かってくれ……。
「また貴方なのね……ふぅ」
「ナイフじゃ、もう物足らないみたいね。足と床を釘で固定してあげようかしら」
「えーと……有波ごめんね?」
俺が必死に上げてきた好感度の下がりを感じる。
待て、待ってくれ!
「で、でもほら、俺もあの時は必死だったわけですし、不可抗力で」
「でも、あんたが原因だって事は変わんないでしょ?」
レミリアの容赦ない言葉が突き刺さる。
そして咲夜が一言。
「有波?」
「はい」
「買ってきなさい」
「……はい」
俺はその場から逃げるように、二階の窓から飛び出した。
……理不尽だ。
ーーーーーーーーーー
紅と黒の入り混じる空間の中、それは動いた。
キシキシと、硬い何かが擦れる音を、それは奏でる。
『……ふひっ』
音は笑い、細い細い腕を外へと伸ばす。
そして『また』、誰かの足を引っ張った。
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