プロローグ1
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ら、先ほど建造完了したばかりと聞いていたけれどと、疑問に思ったことを聞いてみる。
「吹雪と呼び捨てにして下さって結構です。それで鎮守府についてですが、建造されて直に司令官を探した時にある程度の構造は把握しました」
そうだった、彼女は司令官を探していたんだったっけか。俺がここの司令官かどうかは分からないが、探してくれた事については、お礼を言っておくべきだろう。
「手間をかけさせて、すまなかった吹雪。それと、迎えに来てくれてありがとう」
「あ、いえ! 司令官も記憶がなくなって、大変な時にお手を煩わせてスミマセン。…っと、ここですね」
吹雪は俺がお礼を言うと、アワアワと慌てては居たが俺を慮るように言葉を返してくれた。そして、ある扉へ入ると俺を中へと案内してくれた。
「今、ここの鎮守府の管理をしている妖精さんを呼んできますね! 座って待っていてください」
「ん? 妖精さん? ……って、行ってしまったか」
吹雪は俺の返事も聞かずに、頭を一回下げると素早く部屋を出て行ってしまった。しかし、妖精か……。やはり居るのか妖精さん。
とりあえず、彼女の言ったとおり部屋の中央にある立派な机へと近づき椅子へと座る。かなり座り心地が良い椅子である。彼女は俺を司令官と呼ぶが、本当かどうかわからない。なので、今は座るだけで部屋の物は、触らないようにしようと思う。
椅子に座って部屋を見回すが大きな本棚が一つあるだけで、他には特に目につくもモノはない。
さて、落ち着いたところで吹雪を待ちながら自分について分かっていることを整理しよう。
名前は? 不明。
年齢は? 不明。先ほど、鎮守府の廊下を歩いている時にガラスに反射した俺の顔から推測して、成人は過ぎていると思うのだが……。
性別は? 男だ。
生まれ、住所は? 不明。日本人だと思う。
ここへ来た経緯は? 不明。気づいたら、浜辺で立っていた。軍服を着用しているのも不明。
不明ばかりだ。足がかりさえない。本格的に困ったなぁと思っては居るが、何故か俺は焦燥や不安を感じていなかった。
それよりも気になったのが“吹雪”の存在や、この鎮守府という場所について。俺の知識によれば、彼女は間違いなく2次元の創作物の世界の人間である。そんな彼女が、実在している現実。俺は、どうやら“艦隊これくしょん”の世界に転移、あるいは転生。もしかしたら、憑依かもしれないが……したのだろうと予想を立てた。
これからどうするべきだろうかアレコレ考えていると、扉がノックされた。俺が返事をすると、吹雪が部屋へと戻ってきた。
「司令官、こちらの鎮守府に居らっしゃった妖精さんに来ていただきました」
部屋へ入ってきた吹雪の右肩の上に10センチぐらいの小さな人型の何かが立ってい
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