第一章
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」
ちょっと間があいたから聞いてみた。
「なぁ、何で俺なんかと話したりしてくれるんだ? 前までいつも一人ぼっちだったし、変な噂たってたし。俺といるだけで変な目で見られるだろ? なのに何で?」
華は遠い昔を見る目で言った。
「吉川君は昔の私に似てるから、重ねちゃうんだよ。私も一人ぼっちだったから」
その言葉を華から聴くのは意外だった。
「でも華、スタイルいいし、美人だし性格もわるくないじゃん」
華は一瞬照れて、冷静になり、いった。
「昔はこんな人じゃなかったんだ」
俺はその言葉の意味をいまいち理解できなかった。どういうことだ?
「昔は一人で捻くれて、喧嘩売ってくる人たち片っ端から倒したの。私は幸せってものをしらなかったんだ。私は弟がいて、弟の笑顔を見ることはあまり無かった。ある日、弟は事故にあったの。そのとき数十年ぶりに家族が家族らしく病室に集まった。そこから私たちはだんだん昔みたいに笑いあう家族になった。その時弟が言ったんだ。『今の姉ちゃんのほうが昔よりずっと好きだっ』て。私は泣いちゃったよ。その日から変わろうと決心したの。それでこんな遠いとこまで引っ越してきたんだ―」
そして華は最後に笑みを浮かべていった。
「長々といやな話聞かせてこめんね」
意外だった。予想もしなかった。こんな人が昔ヤンキーだったなんて。でも変わろうとしたのはすごいと思う。
「人の人生に歴史ありだな―いや、俺こそいやなこと聞いて悪かったよ」
「いえいえ、いつかは話すことにしてましたのでちょうどいいです」
そんなこんなでこの日も遅くまでレストランにいた。
帰ると妹の吉川優奈、中学2年14歳。がニヤニヤしながら近寄ってくる。
「お兄ちゃん彼女でもできちゃったー? 優奈じゃ物足りなかったかー」
いきなりどうしたんだこいつ。と、さめた目で見てると。
「今日見ちゃったんだー。お兄ちゃんがすごい美人さんと二人でファミレスにいるの」
あー、面倒なことになった。
「あれはただの友達だ。あんな人と付き合えるわけ無いだろ」
「そうだね、お兄ちゃんみたいな人が、モデルみたいな人と付き合えるわけないよね」
自分で言い出したことだが、異常に腹立たしい。
「みたいな人ってなんだよ。イケメンじゃなくて悪かったな」
「お兄ちゃんも、十分イケメンだよっ―どう? キュンってきた?」
「妹にキュンキュンするわけがないだろ。」
「それいっちゃだめだよー」
妹は悲しそうに言いながらさっていった。
俺は4人家族。でも父と母は仕事の都合で家にいないことが多い。だから普段は、俺と優奈の二人暮らしみたいなもんだ。これがいいことなのか悪いことなのかは、自分でもよくわからない。
今日は祝日、学校もない。一日暇だ。こんなときに華がいたら…なんて考えてし
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