暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
47.祭典の真実
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りたいと思うのってダメのなのかな?」

「別にいいじゃない?」

 即答だった。それもパスタを啜りながらというなんとも適当な答えだった。こいつに訊いたのが間違いだった。
 そう思ったが唯は続けて口を開く。

「だってその人を彩斗くんは守りたいんでしょ? だったらその人がどれだけ強いとか関係ないよ」

 そうだった。唯の言うとおりだった。
 柚木がどれだけ強かろうと傷ついていいという理由にはならない。それを彩斗が守ってはいけないという理由にもならない。
 それがわかっていたから彩斗はあの時、彼女の元へと向かったのだ。自分がどれだけ無力な人間だとわかっていたのにだ。

「そうだな……」

 だったら答えは決まった。あとはそれを実行するだけだ。
 彩斗は目の前に盛られたパスタの山を平らげて立ち上がった。

「唯! 今夜は冷えるから外出は控えろよな!」

 彩斗はテーブルの上に置かれていた携帯を手に持って急いで玄関へと向かった。

「戸締り頼むぞ!」

 そして彩斗は外へと足を踏み出した。

 結局、緒河彩斗はこの扉を開けるように運命(さだめ)られていたのだ。しかしそれは決して間違いではなかった。
 これこそが緒河彩斗というニンゲンの分岐点だった。ここで全てが始まって全てが終わるのかもしれない。

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