暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
47.祭典の真実
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きる。しかしそれはできないことなのだろう。結局人であっても吸血鬼であっても力を求めてしまうものだ。
それが世界の均衡を揺るがしかねない真祖と同等の力を持った吸血鬼の力ならばなおさらかもしれない。
「多分だけど今夜も彼は動きだすと思う」
「……彼?」
誰かはわからないはずだ。しかし彩斗はそいつを知っている。記憶のどこかにそいつはいるはずだ。
「だから今夜の外出は控えてね」
柚木は立ち上がりながらこちらに顔を向けて笑う。
今夜も昨夜のような戦いが起きるということは、彼女は危険な目に合うということを意味する。ならば何としても止めなければ行けない。
だが、彼女を止めれるような言葉が出てこない。声に出そうとしても何かがそれを阻む。
結局彩斗の口から出たのは、ああ、という二文字だけだった。
「それじゃあ、帰ろっか」
そんな何気ない言葉でさえも彩斗にはなぜか虚しく感じた。このとき改めて自分の無力さが嫌になってしまう。もっと自分に力があれば、ここで止めることができたのかもしれない。協力することができたのかもしれない。
だが、それは結局かもしれないだけであって実際のことなど誰にもわからないのだ。
そんな気持ちを抱え込んだまま彩斗は家へと帰っていくのだった。
いつの間にか日は完全に落ちようとしていた。
「どうしたの、彩斗くん?」
その日も何も変わらない唯と二人だけの兄妹水入らずの夕食だった。昨日に引き続いた茹でるだけでできる即席のパスタ麺にお湯で温めるだけのソースをかけただけの簡単な夕食だ。
昨日と違うところと言えば彩斗の頭は目の前の夕食を美味しく味わえるよう状況ではなかった。
「……いや、なんでもねぇよ」
「そうなんだ」
フォークにパスタを巻きつけながら唯は興味なさげに呟いた。
「今日も美鈴ちゃんはいないんだね」
「そうだな」
彼女がいないということは、やはり今夜再びあの戦いが行われるということなのだろう。
「やっぱり何かあったんだね、彩斗くん」
どこか不機嫌そうに唯は彩斗を睨みつけている。やはり兄妹というのは何かを感じとってしまうものなのだろうか。確かに唯が不機嫌な時や悩みを抱えてる時はなんとなくだがわかってしまう。それはやはり逆の場合も然りなのだ。
それでも柚木のことや美鈴のことを話したとしても彼女は信じないだろう。仮に信じたとしても唯の性格を考えれば助けに行くなどと言いかねない。だから話すことはできない。
「……何かあったと言ったらあったかな」
彩斗は苦笑いを浮かべながら皿へと目を落とした。
「なぁ、唯。仮の話だけどさ。……自分が守りたいと思ってる人が自分よりも強いんだ。それでもその人を守
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