暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
47.祭典の真実
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てんだよ」

 話題を変えて聞いてみる。これが正直な話で一番気になっていたことだった。同族同士で戦う意味が彩斗にはよくわからなかった。それが人同士の喧嘩のような感覚だというのであればそれで納得するしかないが、昨日の海原という男との戦いはそんな風には見えなかった。確実にあれは柚木を殺すために戦っていた。
 今度はかなりの間を空けてから柚木は答えた。

「それが私たちの運命なんだよ」

「……運命?」

 戦うことが運命。そんなことが運命などとは彩斗には理解することができない。

「元々“神意の暁(オリスブラッド)”っていう吸血鬼は一人しか存在しないはずだった。それがいつの間にかより強力な魔力を持つ者を選別するために一人一人に一体ずつの眷獣を植え付けた」

 彩斗は黙ってそれを聞き続けた。

「そして最強の吸血鬼になれる存在を決めるために互いの眷獣を奪い合うための祭典……それが《神意の祭典》。今この街で行われている戦いのことだよ」

 それが彩斗の聞きたかった答えだった。しかし全くというほど予想だにしていなかった回答にただ黙り込むことしかできなかった。
 突如として吸血鬼の力を手に入れて変な戦いに巻き込まれた。柚木はこんな過酷な運命を背負い続けながら今まで生きてきたというのだろうか。そんなこと自分の身に降りかかってきたとしたら耐えられなかっただろう。
 だが、先ほどの答えの中に一つの引っ掛かりが彩斗にはあった。

「眷獣を奪い合うってどういうことだよ? そう簡単に奪えるようなもんでもねぇだろ」

「うん……普通は奪えるわけもないよ。眷獣は宿主の寿命を代償にしてるからね。それだけ眷獣と吸血鬼っていうのは強い契約関係にある。……それでも“神意の暁(オリスブラッド)”は例外なんだよ」

 俯きながら彼女は語る。

「……私たちは殺した吸血鬼の眷獣の所有権を奪い取ることができるんだ」

 その言葉が彩斗の中にあった疑問を答えへと導いた。
 つまり柚木たち“神意の暁(オリスブラッド)”は《神意の祭典》と呼ばれる宴の中で互いの眷獣をかけた殺し合いを行っているというわけだ。最強の吸血鬼の器になれる存在を見つけるためにだ。

「そんなふざけた宴を止めるために私たちは、協力し合ってるの」

「それが柚木や母さんの集まりだってことか」

 柚木が首を縦に振った。

「“神意の暁(オリスブラッド)”同士が戦わないように眷獣を持っている人たちを説得してるんだけどなかなかうまくいかなくてね」

 それが昨日の起きた事件のことを意味しているのだろう。柚木らは眷獣を持つ者たちを説得しながらも街の人に被害を及ぼさないようにしているのだ。
 つまりは全員が協力し合えば、誰も死なすことなくすませることがで
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