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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
47.祭典の真実
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が逆光となって姿が明確に見えない。
それでも彼がただの人間ではないことはわかる。なぜわかるかと言われても答えられない。しかしわかるからわかるのだ。
目の前のシルエットは不敵な笑みを浮かべたと思うと瞳が真紅へと染まっていく。その瞬間、身体中の産毛が逆立っていく。
恐怖、怖れ、絶望。ありとあらゆる負の感情が一気に襲いかかってくる。
足が竦む。逃げなければいけない。だが、体は全くというほどに言うことを聞こうとしない。
彼が右手を上空へと掲げるとそ鮮血が迸る。
鮮血が大気へと流れ、徐々に形を形成していく。それは美しい肉体の女性の体の形へを変えていく。眷獣だ。吸血鬼が従える膨大な魔力の塊。この眷獣がどれだけ恐ろしい眷獣なのかというのは、ただの人間である彩斗にもわかる。
逃げたい。今すぐにでも背を向けてこの場から逃げたい。しかし逃げれない。いや、この感覚は違う。どこかで彩斗は彼に立ち向かおうとしている。
「行ってこい、彩斗!」
その響きとともに背中へと衝撃が走った。体が押され、足が前へと出る。自然と次の足が前へと出た。そして彩斗は目の前の絶望へと向けて足を進めていく。手にはいつの間にか近未来系の刀が握られていた。
そしてそれを彼めがけて突き立てた。
嫌な感触が手に伝わってくる。人の体を刺した感覚だ。しかしこれで終わったのだった。何もかも終わったのだった……
「え………」
彩斗の唇から漏れたのは声にすらなることのない言葉だった。
銀色の刃は確かに彼に当たったはずだ。だが、現実はそうではなかった。刃は彩斗のよく知る少女へと……必死で守ろうとした少女の胸へと突き立った。
視界が光に包まれて歪んでいく。荒れ狂う魔力の奔流の中で少女は笑顔で何かを言っている。
しかし、その声は彩斗に届かない。
そして少女は最後に満面の笑みを浮かべて彩斗の首筋に牙を突き立てたるのだった。
この光景を彩斗は知っている。しかし今の彩斗は知らない。そんな矛盾な夢幻だ。
そしてまた未来の記憶の扉が一つ閉じたのだった。
夢を見ていた気がする。しかし先ほどまで見ていたはずなのにその断片すら思い出すことができない。それほど必要がないということなのだろうか。
しかしとても大事な夢だった気がする。
起きたての怠い気分を吹き飛ばすために大きく伸びをする。
「あれ? 結構早かったね」
隣の席の前で立っている志乃が珍しそうな顔をしている。
結構早かったね、とはどういうことだろうか。彩斗はかなりの時間眠りについていたはずだ。しかしまだ志乃が隣の柚木の席にいるということは、放課中なのだろう。一応教室の前に備え付けられた時計を確認してみると眠りについてから五分しか経っていなかった。体感時間
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