1部分:第一章
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が国は滅ぶ」
父もまた同じ考えであった。そしてその表情も同じであった。
「滅びるよりはだ。戦うだけだ」
「父さん、それじゃあ日本は」
「戦うからには覚悟を決めなければならん」
こう強い言葉で息子に対して告げていた。自分とそっくりな顔に成長した我が子に対して。
「わし等もわし等で戦うぞ」
「日本の為に」
「命を捨てても惜しくはない」
ここまで腹を括っている者達が多くいたのも事実だった。誰もが日露戦争以来の国家存亡の時に立ち上がり剣や銃を手にしようとしていたのだ。
「全くな」
「俺にも赤紙が来るな」
所謂召集令状である。赤い色をしていたのでこう呼ばれていたのだ。
「絶対に」
「後は任せておけ」
我が子への最大の贈る言葉だった。この時では。
「いいな」
「ああ、戦ってくる」
彼もまた戦場に向かうつもりだった。戦争はもう避けられないのは誰の目にも明らかだった。そして遂に戦争がはじまったのだった。
するとすぐに義明に話が来た。それは医師として軍に来て欲しいということだった。海軍からだ。
「よかったじゃないか、海軍だぞ」
「医者としてか」
しかし彼はその医者として来て欲しいということにあまりいい顔をしてはいなかった。声をかけてきた父に対してもその顔を見せていた。
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