ワールド・カタストロフ〜クロスクエスト〜
Round《2》〜パラドックス・プレイヤー〜
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ついて脳内で検索する。
ハク。
聞いた事の無い名前だ。似たような名前になら、温泉で一緒だったセモンの嫁がいるが、彼女とは別人だろう。
――――というか本気で誰だよ。
そんなことを思っていると、視界が白く染まり始める。転移が開始されたのだ。
「ああもうっ! なるようになれ!!」
そう叫んで、リオンは転移の光に飲み込まれるに任せた。
次に視界に色が戻った時、もうそこは闘技場だ。ゲートを出れば、広がるのは戦いの舞台。空は憎たらしいほどに晴れている。
そして向こうから歩いて来るプレイヤー、一人。
長い茶色のくせ毛を、腰のあたりでひとまとめにした髪型。快活そうな表情。和服の上に、なぜか和風コートを掛けているという奇妙ないでたち。
武器は長い槍だ。両手用槍だろうか。穂先が水晶のような奇妙な素材でできており、透き通っている。プライオリティは非常に高いだろう。
性別は――――女だ。年のころは十六歳ほどだろうか。
彼女は目ざとくこちらを見つけると、
「お前が今回の対戦相手?」
そう、問うてきた。
「そうだけど」
「そっか、いいね、強そうだ。俺はハク。お前は?」
ニヤリ、と笑って、再び問う少女――――ハク。
名前など知っているだろうに、それが一種の儀式であるかのように、リオンは律儀に答えてやる。
「リオン。SAO時代は《流星の獅子》なんて呼ばれてた」
「へぇ、《獅子》か。いい名前だな」
「おれは嫌いだけどな。本当は《Rion》にしたかったのに……」
「ふぅん……な、一つ聞いていいか?」
ハクは打って変わって、怪訝そうな表情をして問う。
「お前――――俺とどこかで、会ったことない?」
直に脳内を検索してみる。だが、リオンの脳裏に該当する顔は思い浮かばなかった。似たような顔なら見たことがあるような気がするが、彼女自身ではない。何より、リオンが彼女の名前を知らなかったことが、その事実の裏付けだ。
「いや、無いとおもうよ。おれとあんたは初対面だ」
「そっか。うーん、何か引っかかってる気がするんだけどなぁ……まぁいっか。俺の感はよく外れるって晶也も翔も言ってたし」
――――長話が過ぎた。
すでにカウントは始まっている。
あとは、火ぶたが―――――
【デュエル!!】
叩き落されるのを、無視するだけ。
閃光が瞬くと同時に、リオンは全速でハクとの距離を開ける。リオンの持つユニークスキル、《投擲》は、ソードスキルを『投げる』スキルだ。当然遠距離から攻撃した方がうまみは大きい。
「……シッ!!」
初手はこれだ――――レイピアを構えて、《
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