第雪話
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え直してみて一つだけ思いついた。一輝のいそうな場所。最初に思いついてもいいくらいな場所だったが、だからこそ外していた。というか、いそうだが本来出れないから外していたというか・・・
「・・・開いてる・・・」
そこに行ってみたら、鍵が開いていた。鍵穴を見ても分からないが、おそらくピッキングをしたのだろう。電子キーの方で開ける手段はないはずだから、そっちで間違いないだろう。
まあ、うん。これでやっと解放される。そう思って屋上に出てみたら、そこには五、六体ほどの妖怪の死体と、それらのにおいが漏れないようにという配慮なのか囲うように張られている結界の上で昼寝をしている一輝の姿が。
・・・頭が痛くなってきた。もう見て見ぬふりをして帰ろうかな・・・それはそれでマズイか。
とりあえず結界に上って一輝を揺らしながら声をかける。
「・・・何してるんだ、お前は」
「ふぁ〜・・・ん?雪姫か。おはよー」
「おはよー、ではない!なんだこの状況!?」
真下を指差しながら聞いてみると、一輝は寝ぼけ眼のまま下を見る。
「あー、これはだな・・・」
「この学校には、野良の妖怪が入れないように結界が張ってあるんじゃなかったか?」
「あるにはあるんだけど・・・俺の前任が張ったものを補強して使ってるんだよ」
胡坐をかいて座り、頭を少しかいたところで目が覚めたのだろうか。少なくとも口調からは眠たさは消えているように感じられた。
「こういうところに張る結界ってのは色々と設定段階が面倒でなぁ。一からはろうとするとかなりの労力になるから、大抵こうして前任の物を自分で使えるようにして使うんだよ」
「なるほど。それで、なんでここにその野良がいるんだ?」
「・・・まあ、使いまわしだからガタが来たみたいでな。だいたい・・・」
と、そこで一輝は空の一点を指し、ぐるぐると円を描いて見せる。
「あの辺りに来たんだよ。だから、とりあえずそこから入ってきたのを潰しに来てた。以上が、現状の説明かな」
「三時間目から放課後までずっとここで寝ていた事の説明は?」
「いや〜、誰にも気づかれないように潰そうと思うと呪術は使えないし、剣は他の物が斬れるかもしれないとか考えた結果、体術でやるしかないじゃん?」
「普通それで妖怪と相対しようとは考えないがな」
だから陰陽師というのが仕事として成り立つし、依頼があるんだから。
「それで一匹も他に行かせずにつぶそうと考えると、意外と難しかったってわけだ。加減を考えないと学校が崩壊しかねなかったし」
「ああ、考えたのはそっちの方向なんだな」
まあ、考えてくれてよかったが。仕事ならちゃんと人命のことも考えるんだよなぁ、コイツは。
というか、まだ寝ていた理由を聞いていない。
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