第百九十八話 石田三成という男その十二
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「それを見るとな」
「実にですか」
「よき者じゃ」
それで、というのだ。
「あの者もな」
「是非ですな」
「織田家に入れてな」
「そのうえで」
「天下の役に立ってもらう」
彼もまた、というのだ。
「是非な」
「では」
「上杉は全て織田家となるが」
その中において、というのだ。
「あの者もじゃ」
「ですか、それはよいことです」
羽柴はにこにことなった、信長のその話を聞いて。そしてそのうえで主に対して笑いながらこうしたことも言った。
「それがしも直江殿の様な御仁が欲しいですね」
「御主の家臣にか」
「はい」
その通りだというのだ。
「そう思っています」
「やれやれ、あれ程までの者を家臣に欲しいか」
「是非共」
「猿、御主も欲が深いのう」
「人がいてこその政と思いますので」
それで、というのだ。
「是非共。それがしの家老に」
「御主には小竹がおるではないか」
信長も笑ってだ、こう返す。
「それでもか」
「はい、小竹ともう一人」
「家老が欲しいか」
「そう思っています」
「やれやれじゃな、もっともそう言う御主も今では家老の一人」
織田家の中においてだ、羽柴もまたそうなっているのだ。彼はそこまで身を立てているのだ。
「つまりこの場合は家老の家老じゃな」
「そうなりますな」
「その者が欲しいか」
「領地の政も最近忙しいので」
羽柴が封じられたその領地の政だ、彼も今では十万石以上の領地を持っている大身になっているのだ。
それでだ、その政もというのだ。
「そう思っています」
「ははは、ではよき者を探すのじゃな」
「わかりました、それでは」
「上杉謙信は我が片腕じゃ」
信玄と共に、というのだ。
「そしてな」
「直江殿もまた」
「うむ、幸村と共にな」
彼もまた、と言っての言葉だ。
「天下の為に働いてもらうわ」
こう言いつつ川中島を目指すのだった、織田と上杉の戦の時は迫ろうとしていた。それもまた決戦だた。
第百九十八話 完
2014・9・16
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