第三十九話 古都での死闘その六
[8]前話 [2]次話
激しい、乱打の如き攻撃を繰り出していた。その攻撃をだ。
薊は何とか防いでいた、しかしだった。
「覚えておられますね」
「さっきのあんたの言葉だな」
薊は棒と身のこなしで怪人のその両手から繰り出される鞭を防ぎつつ返した。
「あんたの毒に少しでも触れたら」
「終わりです」
「そうだよな」
「しかもです」
ここで怪人はこうも言った。
「私の全身は毒です、ですから」
「こうして攻撃を受けている間にもか」
「そうです、毒がです」
その触れただけで即死する猛毒がというのだ。
「次第にです」
「滲み出て来るか」
「それは防げません」
「そうか、じゃあな」
「今は大丈夫でしょう」
薊は、というのだ。
「しかしです」
「これからはか」
「わかりません」
勝利が近付いていることを実感しつつの言葉だった。
「さて、それはどうされますか」
「なら闘い方があるさ」
薊は負けていなかった、この状況でも。
そしてだ、その手に持っている棒に。
炎を宿らせた、紅蓮の炎で己の顔と身体を照らしつつ構え。
そのうえで間合いを取ったままだ、棒を下から上に思いきり振って棒に宿してある炎を地走りさせて飛ばした。
そこから突き、無論炎を宿したままのそれを棒を伸ばしたうえで何度も繰り出す。そのj激しい攻撃を見てだった。
黒蘭はその目を鋭くさせそのうえで言った。
「攻めてきたわね」
「はい、本気で」
桜がその黒蘭に応えた。
「薊さんは」
「ええ、炎を宿してね」
「やはりお力を使われると」
「違うわ」
その攻撃の強さもというのだ。
「やはりね」
「はい、ただ」
「ええ、ハンデは大きいわ」
「薊さんは怪人の攻撃を受けてはならない」
このことをだ、桜は強く言った。
「例え擦り傷でも」
「若しそれを受ければね」
「終わりですね」
「そう、怪人の言うことが真実なら」
そしてそれは真実だと確信していた、この場にいる誰もが。
「薊さんは終わりよ」
「その毒により」
「だから攻撃を受けてはならないわ」
まさに例え擦り傷でもだ。
「毒を受けるから」
「そうよ、そしてね」
「薊さんの攻撃は」
「確実に。怪人にダメージを与えないとならないわ」
怪人のそれとは逆にだとだ、黒蘭は指摘した。
「そのうえで倒さなくてはならないから」
「ハンデは大きいですね」
「そうよ、けれど」
「はい、けれどですね」
「薊さんなら」
彼女なら、というのだった。
「勝つわ」
「そうです、薊さんなら」
「そのハンデを乗り越えて」
そのうえでとだ、薊の激しい攻撃を見つつ言うのだった。
「勝つわ」
「あの方の実力なら」
桜も黒蘭のその言葉に頷く、その通りだとだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ