第三十九話 古都での死闘その四
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「私も攻撃を加えればいいのですから」
「その一撃で、か」
「貴女を倒すことが出来ます」
その毒でだというのだ。
「すぐに」
「そうなんだな」
「そして私は、言い加えさせて頂きますが」
さらに言う怪人だった。
「毒は鞭と牙だけではありません」
「他の場所にも毒があるのかよ」
「若し私の身体に触れれば」
その時はというのだ。
「僅かでも、そうなれば」
「毒を受けるってのかよ」
「そうです」
「成程ね、全身毒って訳だな」
「毒手というものがありますね」
ここで怪人はこちらを出して来た。
「中国拳法に」
「手にあらゆる毒を徐々に滲み込ませていって作っていくものだよな」
「やはりご存知でしたか」
「実際に見たことはないけれど聞いてるさ」
薊の拳法の師匠からだ、このことも彼から教えてもらったのだ。
「中国でも滅多にない究極の暗殺拳だってな」
「そうです、そして私は」
「その全身がかよ」
「毒ですので」
「まさに全部が毒手ってんだな」
「その私に勝てるでしょうか」
「だから言ってじゃないか、受けなければいいんだよ」
毒があるのならその毒をというのだ。
「そうすればいいだけだからな」
「強気ですね」
「強気だけれど根拠のある強気だよ」
それが薊の強気だというのだ。
「それを見せてやるさ」
「そうですか、面白いことを仰いますね」
「漫才は好きだぜ」
「ははは、そうした意味ではないのですが」
薊の今の言葉にはだ、怪人は笑って返した。
「しかし」
「それでもってのか」
「ご安心下さい、毒でも私の毒は即効性です」
「だから受ければか」
「苦しまずにすぐに死ねます」
まさに瞬時にというのだ。
「ですからご安心を」
「おいおい、あたしがやられるって口調だな」
「その通りです、私には勝てません」
「毒のせいでかい?」
「毒だけではありません」
怪人は自信に満ちた言葉で薊に返した。
「この鞭、体術自体が」
「凄いってのか」
「それを今からお見せしましょう」
こう言ってだ、早速鞭を放って来た。右手に持っているそれが唸り薊を襲う。
薊は上に跳びその鞭をかわし怪人に向けて七節棍を突き出しその伸ばした一撃で打とうとする。だがその一撃を。
怪人は素早く手元に戻した鞭を上に放ち弾き返した、そうして薊の一撃を防いでそのうえでだ。着地した彼女に笑って言った。
「やりますね」
「あんたもな」
「今の一撃をよくかわしました」
「さっきのは結構自信あったんだけれどな」
「攻撃をかわしたうえで反撃をする」
「闘いの基本って言えば基本さ」
着地した薊は立ち構えに戻りつつ言う。
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