第三十九話 古都での死闘その三
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二組の闘いがはじまった、まずはだった。
百足の怪人はその手にあるものを出した、それは鞭だった。しかし普通の鞭でないことは誰もがすぐにわかった。
「あの鞭は」
「百足ですね」
桜が声をあげた裕香に答えた。
「百足の鞭ですね」
「そうね、かなり長い」
見ればまさにそれだった、二メートル近い細長い百足の形をした鞭だった。怪人はその鞭を出してきたのだ。
それでだ、裕香はその怪人を見て言うのだった。
「百足だから」
「その鞭には」
「毒があるわよね」
「おそらくは」
桜は裕香に答えた。
「私もそう思います」
「そうよね」
「ですから。若し鞭を受ければ」
まさにその時はだった。
「毒も受けることになります」
「まずいわね」
「そうですね、しかし」
「しかし?」
「それなら攻撃を受けなければいいのです」
それで済むことだというのだ。
「薊さんも」
「そうなのね」
「はい、ですから」
それで、というのだ。
「薊さんはこの闘いでは少なくとも鞭の一撃はです」
「それだけはなのね」
「受けてはなりません」
そうなるというのだ。
「間違っても」
「ううん、受けなければいいけれど」
「受けてもなりません」
この二つの言葉は同じ意味だった、だがそのニュアンスは違っていた。しなければいい、としてはならないのでは全く違うのだ。
そして薊はだ、この場合は。
「どちらもですが」
「どっちかっていうと」
「薊さんがどう考えられるかによって」
その闘う彼女自身がというのだ。
「気の持ち方が違います」
「薊ちゃんなら」
裕香は薊の性格から考えた、そしてその彼女はというと。
その鞭を持った怪人に対してだ、余裕のある笑みでこう言った。
「その鞭毒があるよな」
「はい」
その通りだとだ、怪人も答えてきた。
「この鞭の足、そして私の口には」
「その百足の口もなんだな」
「毒があります」
まさにそうだというのだ。
「それもかなり強いものが」
「百足っていったら毒だからな」
「若しその毒を受ければ」
「アウトっていうんだな」
「少なくとも人間位は」
平気だというのだ。
「すぐに死にます」
「だよな、じゃあな」
「それではですか」
「それなら受けないといいんだよ」
薊が言った言葉はこちらだった。
「そうしてあんたを倒せばいいだけさ」
「仰いますね」
「攻撃は受けないに限るしな」
この理屈からの言葉だった。
「それなら最初からだよ」
「攻撃を受けなければいいだけだと」
「そうだよ、じゃあいいな」
「さて、それはどうでしょうか」
怪人も余裕の声で言って来た。
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