第二百七話
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第二百七話 試験運転で
博士は小田切君を連れて戦艦に乗った、そうして。
戦艦は空を飛びはじめた、それからだった。
小田切君にだ、こう言ったのだった。
「さて、ではな」
「はい、これからですね」
「ある国の上まで行く」
「ああ、いつも博士が破壊されている」
「将軍様の国に行く」
まさにその国にというのだ、博士は個人崇拝を強制している世襲制の独裁国家は趣味に合わないので嫌っているのだ。
それでだ、気が向けばちょっかいを出していて今回もなのだ。
「そしてじゃ」
「破壊行為をして、ですね」
「それを試験飛行としたい」
「いきなり実戦ですか」
「わしの試験は実戦じゃよ」
実に素っ気ない返事である。
「だからじゃ」
「今回もですか」
「それでよいのじゃ」
全く以て何の問題もないという言葉だ。
「全くな」
「ううん、まあ博士の場合は」
小田切君も博士のことはわかっていて頷く。
「止めても」
「何を止める必要があるのじゃ」
博士は小田切君に疑問符で返した。
「わしはただ実験を行うだけじゃ」
「試験飛行をですね」
「それで止められる道理はない」
「そうですよね」
「まあ実戦になり相手の軍隊が壊滅するかも知れんが」
それでもというのだ。
「わしにとってはな」
「どうでもいいですか」
「そんなことはプランクトンより小さなことじゃ」
至って、というのだ。
「だからな」
「このままあの国の上空に行って」
「破壊行為じゃ」
「わかりました、それじゃあ」
「巨大戦艦インビジブルよ進むのじゃ」
ここで戦艦の名前もわかった。
「あの国にな、さて」
「さて?」
「まずは全速で一時間動く」
そして、というのだ。
「それからまた一時間かけてあの国に行くがそれまでは食事じゃ」
「何を食べるんですか?」
その食事は何か、小田切君は博士に問うた。彼の今の関心はそちらにあった。
第二百七話 完
2015・1・30
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