三十九話:守るという選択
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
すぐにでもその腕の中に飛び込みたいのを我慢してルドガーの方を見つめて涙があふれるのをグッと堪える。そしてその後ろにいるルフェイは自分の兄を黒歌と同じように泣き出しそうな顔で見るがアーサーはまるで機械にでもなったかのように無表情を貫き通している。
そんな四人の様子にグレモリー眷属達は黙ったままの状態で見つめるだけである。全員、ここはあの四人が話し終わるまで声を掛けてはいけないと空気を読んでいるのである。
「お兄様は……私を守る為に私を置いていったんですね?」
「それが分かっていながらどうして来たのですか、ルフェイ」
ルフェイの問いに淡々とやたら丁寧な口調で答えるアーサー。そのいつもの兄とは違う冷たさにルフェイは怯えて一歩後退ってしまう。そんな妹の様子にアーサーは罪悪感を抱くもののこれで妹が守れるなら喜んで悪役になろうとさらに言葉を続けていく。
「ルフェイ、あなたの実力では足手まといです。次にヴィクトルと戦うことがあれば間違いなく殺されます。それが分からないのですか?」
「でも、それはお兄様も同じです!」
「私には戦いの中で果てる覚悟があります。ルフェイ、あなたには戦う事に関しては私程の執着心はないはずです。それに何より……私は兄として妹を守らなければならないのです、分かってください」
アーサーの重い言葉にルフェイは言葉を失い黙り込んでしまう。そしてこれ以上は話すことは何もないと言わんばかりにアーサーはルフェイに背を向ける。そんな様子を見ていたルドガーは、今度は俺の番だなとばかりに黒歌の方に向き直る。
そんなルドガーに対して自分は絶対に譲らないと目に闘志をこめる黒歌。だがルドガーとてここで引き下がってしまえば今までやってきたことが無意味になってしまうので引くわけにはいかないと気合を込めて黒歌を見つめる。そして、覚悟を決めて口を開く。
「黒歌……俺の事はもう忘れてく――「いや!」――じゃあ、俺に全部任せろ!」
「それも嫌にゃ! ルドガーと離れたくなんかないにゃ!」
「君を守る為なんだ……分かってくれ」
「それでも嫌にゃ! 一緒に居たい!」
まるで子供が駄々をこねるようにいやいやと言い続ける黒歌に対してルドガーは優しく声を掛けるが黒歌は一向に耳を貸そうとしない。今までであればこういった時はルドガーの方から近づいていき抱きしめてあげていたが今のルドガーにそれをする気はない。
もし、彼女の傍に行けば、抱きしめてしまえば、その温もりを手放すことは、もう一生出来ないと直感的に感じているからだ。しかし、このままでは埒があかないと思ったルドガーはこんどは黒歌の後ろにいるイッセー達の方に話しかける。
「イッセー、お前達もだ。俺なんて碌でもない奴の事は忘れて生
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ