三十九話:守るという選択
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。黒歌は勿論そんな事実は知らないが以前アザゼルに言われた言葉を思い出して、ヴァーリの方を不機嫌そうに見つめる。そんな様子にヴァーリは怪しげな微笑みを浮かべるだけである。
「二人共この冥界に来ているぜぃ。それぐらい仙術使えばすぐわかるだろうが、アホ猫」
「これから使うつもりだったのよ。このバカ猿」
「あん?」
「にゃん?」
美候の挑発するような言い方に売り言葉に買い言葉だとばかりに言い返す黒歌。その事を発端としてまるでメンチを切るかのように睨み合う二人。そんな姉の様子に嘆息しながら小猫は教わった仙術を用いて、ルドガーの気を探る。するとここから少し離れた山の中に二人の人間の気配を感じたのでそれをすぐに他の者に伝える。
「……ここから南の方角に行ったところに二人の人間の気を感じます。……多分それだと思います」
「部長、すぐに行きましょう!」
「そうね、みんな小猫について行くわよ!」
小猫の話を聞いたイッセーはすぐに主であるリアスにルドガーの元に行くように進言する。そしてリアスもここで逃がすわけにはいかないとばかりに眷属に指示を出し、すぐに小猫の示した方向に眷属とルフェイと共に走り出す。それを見て美候と睨み合いを続けていた黒歌も美候から目を切り彼等を追っていく。そんな様子を見ながらヴァーリと美候は若干心配そうな顔をして静かに話し合う。
「大丈夫かしら彼女達……ルドガー君、思い悩むと結構病んじゃうのよね。最近は目つきが怖くなってきていたし」
「まあ、ヤバかったら俺っち達が止めればいいだろ。それより、赤龍帝とは戦わなくていいのかよ?」
「あの子とはベストの状態で戦いたいもの。勘だけど、ルドガー君を連れ戻そうとしているんだからどんな結果であろうとあの子は―――無事じゃすまないわ」
ヴァーリと美候から離れた黒歌達がルドガーとアーサーが居る場所に近づいていくにつれて、あるメロディが全員の耳にハッキリと聞こえてくる。その旋律は歌詞がないにも関わらず、ひどく美しくいて、尚且つひどく悲しさも漂わせる歌であった。
黒歌はその歌と歌っている人物のことをよく知っていた。歌詞の無い、メロディだけのその歌の名前は『証の歌』彼女の最愛の人がいつも好んで歌っている歌だ。
つまり、今この歌を歌っているのは―――
「会いたかったにゃ……ルドガー」
「驚いたな……歌っていたら、本当に会いたい人が来た……黒歌」
―――ルドガー・ウィル・クルスニクである。アーサーの隣に立っていた彼は教えられていなかった為に黒歌達が姿を現したことに少し驚きの表情を浮かべるが、すぐにこのために自分は冥界に連れてこられたのだと理解しその表情を悲しげな笑みに変える。
一方の黒歌は今
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