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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百九幕 「リバーシ」
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「あれ!?自虐が入った!?ま、まぁ佐藤さん相手なら仕方ないんじゃないかな!?」
「あの試合は結局一発も佐藤さんに当てられなかったしな!!ふははははは……………あれ、何だこれは?私の……涙か」
「ラウラぁぁぁーーー!もういい、もういいんだ!!佐藤さんの事は今は忘れるんだ!」

ぽろぽろと瞳から滴が零れ落ちるラウラが居た堪れなくてひしっと彼女を抱きすくめるシャル。佐藤さんに対して失礼大爆発だが、まぁしょうがないと思う。だって佐藤さんだし。

何はともあれこれはチャンスである。ここで一気に仕留めさせてもらう――と、一夏は今度こそ必殺の一撃を叩きこむために雪片弐型を握り込んだ。

だが――同時に小さな恐怖を感じる。

「最初の一回目は不意打ちでやられた。そして二回目は半端な当たりで打ち損じ……」

自分の不甲斐なさに歯ぎしりをする。
いつもこうだ。他人に助けられて漸く戦える。お膳立てされた道でしか輝けない。挙句、今回などは変な歌のせいで途中まで足手纏いという有様だ。
情けない、本当に心底情けない。

白式というISを託されておいて、姉の使ったものと同じ剣を託されておいて、それでもなお一夏は未熟な戦士だ。未熟者は、未熟者である限り何度でも失敗を繰り返す。――今回の一撃で相手を仕留めきれる保証などどこにもないのだ。

「織斑、急げ!!AICで停止させてはいるが、こいつ……とんでもない暴れ馬だ!いつ破られるか分からない!」
「分かってる……」
「一意専心、二の太刀要らず。後は言わずともわかっているな?」
「分かってる……!」

失敗は出来ない。否、ここで失敗してなるものか。

「俺は成長するんだ……俺は勝つんだ。勝って鍛えて強くなって、そして――」

だが理想を語るにはそれに見合った力が必要だ。今の俺にそれがあるのか?
箒程の練度もない。セシリアのような判断力もない。シャルのようなテクもラウラのような厳しい訓練も受けていない。足りないのはしょうがないと分かっているのだ。
それでも、力が欲しい。

紛い物でも、今の一瞬しか使えないものでも構わない。
今すぐに掴める力が欲しい。
力。
力。
皆を越える力を。

勝利への渇望。力への意思。脈打つ獣のような闘争心が脳内麻薬を爆発的に分泌させ、瞬時加速で速度を増す体を燃えるように熱くさせる。零落白夜の冷気を感じさせる刃が、弐型の先端から噴出した。

この一撃であいつを壊せ。
この一撃であいつを仕留めろ。
力でねじ伏せろ、力で叩ききれ。
力で――
力で――

(俺の邪魔をする奴は――ぶった斬ればいい)

戦意が狂暴な敵意に変貌した。

「うぅぅぅぉおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

何も助けられない自分に力を。何も思い通
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