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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百九幕 「リバーシ」
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『……ふん。あの気味が悪いガキは帰ったか』

ヘドロのような黒の海に浮かぶ3つの白い椅子。その一角に座っていた「もう一人の一夏」は、せいせいしたように軽く伸びをする。
先ほど、アレが去った。これでしばらくは一夏に介入してくることはないだろう。先ほどまで苦悶の表情を浮かべてながら(おき)ていた一夏は、今は見ているこっちの腹が立つほど心地よさそうに椅子にもたれかかって寝息をたてている。

一夏(おれ)よぉ、折角お膳立てしてやったんだからきっちり勝てよ?勝って鍛えて強くなって、そして――』

――そして?

『……なんか用かよ、くそガキ。人の独り言にいちいち反応するんじゃねえよ』

機嫌よさ気だった顔が、その声を聞いて瞬時に不満そうな仏頂面に変化した。
気が付けば、空白だった椅子の上に、そのまま消えてしまいそうな淡い光を放つ少女が座っていた。

『さっきまであの気味の悪いガキを締め出すのを手伝ってくれたのは感謝するけどよぉ、俺ぁお前みたいに何考えてるかわかんねぇ奴は嫌いなんだよ』

――私は好きだよ?口は悪いけど、今は貴方だけが話し相手だもん。

『フン!話そうと思えばあっちで寝てる呑気な一夏とも会話できるだろうが』

――まだダメ。あの一夏は、幼すぎる。チフユとは違って積み重ねた土台があまりに脆い。

『知ってるよ。あいつも難儀な状態で産まれて来たもんだ。本人が真実を知ったらなんて言うかな?』

――だからこそ、貴方も一夏を強くしようとしてるんでしょう?

『知った風に………まぁ、違うとは言えねえが』

何もかも見透かされているような言動が気に入らないとばかりに、その一夏は胡坐をかいて自分の足に肘をついた。何所か子供っぽくて、いじけているよな動きだった。


『「お前は一夏ではない」………ね。痛いところ突いてくるぜ』

――……………貴方は貴方、一夏もまたそう。

『分かってるよ。一夏は一夏だし、黒の門は開けさせねぇ……だが、そうならば――あいつは「一夏」に何を求めてるんだろうな』



 = =



展開は早かった。
一夏さえしっかりと動ければシルバリオ・ゴスペル一機に対して専用IS産5機だ。
一夏が撹乱(かくらん)し、シャルのガーデンカーテンを盾にラウラがレーゲンで攻撃を刺す、という基本的な動作によってゴスペルはじわじわと追い詰められていく。

元々ゴスペルはただゴーストを恐れ迎撃していただけなのだ。そしてゴーストもまた所狭しと暴れまわっていたからこそ、三すくみの戦場は困難を極めていた。つまりその一角が落ちれば状況は随分スッキリする。

「お三方!援護しますわ!」
「ゴーストに比べればその程度の速さ、箸でも捕まえられる!」

途中、箒とセシリア
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