憎悪との対峙
40 明かされた混沌
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た。
「良かったね、サイトくん。これで…」
「いや…まだ終わったとは限らないよ。奴らの目的は混乱を起こすこと。このままダークチップとユナイトカードを拡散させるだけでも十分効果はある。ニホン中の人間が行き来するこの街なら…」
アイリスは安心した様子で彩斗に微笑む。
しかし彩斗は内心、まだ終わっていないような感覚を覚えていた。
安心しかけたが、不意に安食の顔が頭に浮かんだのだ。
あの男がこの程度で諦めるようなタイプの人間には思えない。
それに性格は冷酷非情、なおかつ知恵はかなり回るタイプだ。
通常の人間ならジャミンカーにしかなれないはずのユナイトカードを用いて、ナイトメア・テイピアという悪夢を操る電波人間にまで進化している。
常識では計れないタイプの人間だ。
何か別の方法を用いて仕掛けてくるかもしれない。
「…うっ」
「サイトくん?大丈夫?」
「なんでもないよ。大丈夫」
彩斗は一瞬、胸のあたりに痛みを覚えた。
どちらかといえば苦しいという感覚だろうか。
悪い想像ばかりしているせいだろうと思い込んで、アイリスには笑顔で返した。
「…それより、コーヒーもらえるかな?」
「ダメよ。ただでさえ本調子じゃないのに、胃に負担を掛けるのは良くないわ。それに…」
「この娘のコーヒー、正直、オススメできないわ」
ハートレスの一言でアイリスは申し訳無さそうに下を向いた。
そもそも味覚が無く以上、味見が出来ない。
そんなものを出すというのは良くないと、アイリスも先程の一件で学んだ。
「…そうかい。じゃあチョコレート」
「さっきあなたが全部食べたわ」
「砂糖は?」
「アリじゃあるまいし…ところで…あなた、本当に他に違和感は無いの?」
「…別に」
彩斗は睨みつけるような視線で問いかけるハートレスから目を逸らして答えた。
ハートレスと話していると、シンクロを持っている彩斗でも逆に見透かされているような感覚を覚えることがたまにあった。
「…まぁいいけど。何かあって困るのはあなたよ。あとこれは忠告だけど、クインティアが復帰したわ。本調子とはいえないけど…もうあなたの出番はないわ」
「…何が言いたい?」
「もう変身するなってことよ。何が起こるか分かったもんじゃないわ」
ハートレスは釘を刺す。
だが反面、彩斗は少しニヤけていた。
「ちょっと…何がおかしいのよ?」
「別に。心配してくれてるのか思ってね」
「そんなわけないでしょ」
「だろうね。君が僕の心配なんてするわけない」
彩斗は少し残念そうな声でキッチンの方へ歩き出した。
だがキッチンには何も無かった。
「何も…無い?」
「えぇ。何も無いわ。食べたかったら買ってくるしか無い」
「そうかい。じゃあ買ってくるよ。君
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