ヒトランダム
現実か、妄想か
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かよく分かっていないみたいだ。
一気に空気が重くなる。無言のまま時計の針の音だけが響く。
「あ!教室にノート忘れた!」
重い空気をぶった切ったのは永瀬だった。ついでに流れもぶった切ったが。
「話の流れをぶった切るんじゃねえ!」
「どんまい、どんまい。で、取りに行ってもいいかな?」
「……勝手にしろ」
稲葉が許可を出すやいなや永瀬は部室を飛び出していった。
相変わらず稲葉でさえも永瀬には手を焼くみたいだな。
永瀬が出て行って先ほどの話の続きをするような空気でなくなったため、一旦くつろぎタイムが入る。
それにしても、魂が入れ替わるってどういうことなんだ。
どうせ青木のことだし、未だに桐山の家には上がっていないだろう。しかし、さっきの会話から察するに桐山の部屋の構造をきちんと把握していた。夢にしては偶然が過ぎるだろう。とても現実的ではない。だからといって魂が入れ替わるのも現実的ではない。
いったいどうなってるんだろうか。
一人考えに耽っていると、急に八重樫の身体が傾いた。
「太一!?」
隣に座っていた稲葉が腕をつかみ、かろうじて体が倒れるのを防いだ。
が、次の瞬間さらなる事態が襲い掛かる。
「あれ?ノート……って唯に青木、稲葉んも。あれれ?部室?っていうか私の声じゃない?……はっ、もしかして私太一になってる!?」
何事もなかったかのように体勢を立て直した太一は太一らしからぬしゃべり方、そう、それはまるで……
「おい、太一。お前何言ってるんだまるで伊織になったみたいに」
永瀬みたいな。
「私だよ稲葉ん!太一と入れ替わっちゃったみたいなんだよ!あっ、今私が太一になってるってことは太一は私になってるんだ!ってことはもしかしてー!」
そう叫ぶなり、八重樫は部室を飛び出していった。
何だったんだ今のは……まさか青木と桐山が言ってたように入れ替わったのか。そんなまさかな。
八重樫のめずらしいドタバタ劇をみんな唖然と見送っていた。
そして、しばらくするとお互い顔を見合わせ、頭の上にクエスチョンマークを浮かべた。
今日はいったいどうなってやがる。
しばらくすると、八重樫は永瀬を引き連れて帰ってきた。
そして、先ほどの青木と桐山のように並んで座る。二人の両サイドには青木と桐山、向かいには稲葉、俺はソファーの上だ。
「で、今度は何の冗談だ?」
そう言いながら、稲葉は絶対零度ですら生ぬるく感じるような冷たい目線を送る。
「いやー、中身入れ替わっちゃったみたいだねー、私と太一」
そう言って笑う八重樫はいつもに比べて屈託のない笑顔だった。
ちなみにそれを見た感想とすればとても演技しているようには見えない。
「太一、素材は悪くないんだから
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