第二百六話
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第二百六話 乗艦
博士は小田切君と共に新たに開発した空中戦艦に乗艦することにした、まずは二人で小さな円盤に乗ってだった。
戦艦の甲板に降り立ち艦橋まで行った、そしてそこに入ると。
「誰もいないですね」
「そうじゃ、この船におるのはわしと君だけじゃ」
博士と小田切君だけだというのだ、その艦橋の中は自衛隊の護衛艦のそれを思わせる機械的なものだ。
「二人だけじゃ」
「それでどうして動かすんですか?」
「何、わしが思う通りじゃよ」
博士は小田切君にあっさりと答えた。
「念ずればな」
「それで、ですか」
「わしの思うまま動いてくれる」
こう言うのだった。
「わしの思念を受けて動くからのう」
「それはまた便利ですね」
「あと燃料はない」
このことは博士自ら言った。
「常温核融合を使っておる」
「ああ、あれを」
「だから燃料は不要じゃ」
それも一切、というのだ。
「ついでに言うとニュートロンジャマーキャンセラーも搭載しておる」
「それはいらないんじゃ」
「わしの趣味じゃ」
それで搭載させたというのだ。
「気にしなくともよいぞ」
「そのことはですか」
「では早速試運転じゃ」
「何処に行くんですか?それで」
「まあざっと世界一週じゃな」
いきなりこれであった。
「少し行くか」
「世界一周ですか」
「速度は空中でマッハ十、海上で時速八〇〇ノット、海中で六〇〇ノットじゃ」
「それまた途方もない速さですね」
「キャタピラを出して陸上も進めるし地下も進める」
まさに万能戦艦である。
「この戦艦に敵はないぞ」
「本当に凄いの開発されましたね」
「ほっほっほ、わしだからこそ出来るのじゃ」
博士は小田切君の今の言葉には上機嫌で返した。
「では世界一周じゃ、二時間程かけてやるか」
「いきなり最高速度は出さないですよね」
「まずはならしじゃ」
そこからというのだ。
「動くかどうか確かめてからな」
「それからですか」
「色々とやってみる」
そうするというのだ、こう話してだった。
博士は戦艦を動かした、試験運転がここではじまった。
第二百六話 完
2015・1・24
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