三十八話:偶には旅もいいよな
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夏休みになったために里帰りの為に冥界にやってきたグレモリー眷属と黒歌達は現在、グレモリー本邸にある屋敷のリビングルームにてソファーに座ってそれぞれの修行方法が書かれた数枚の紙を持っているアザゼルを前にして自分の修行内容を言い渡されるのを立って待っている。若手悪魔の会合が終わった後すぐに修行を始める予定だったのでこうしてイッセー達を呼び集めて修行を始める準備をしているのである。
「さて、これからお前らに修行の内容を通達するんだが……この修行はすぐにでも効果が出る奴とそうじゃない奴がいる。そのことは十分理解しておけよ」
そう言って、さっそく一枚目の紙をリアスに渡す。それを見てリアスは少しばかり眉をひそめる。なぜならそこに書いてあったのはいわゆる基本的なことばかりだったからである。ところどころに応用的なことが書いてあるがそれでも基本的な事には変わりがない。そのことに意見を求める様にアザゼルを見るリアス。
「お前はそれでいいんだ。いいか? お前の才能と力はすでに上級悪魔でも結構高位のものだ。放っておいても次期に最上級悪魔の筆頭には上がれる。だが、今すぐに力が欲しいんなら徹底的に基礎を磨くしかねえ。お前は『王』だ。『王』は時にして力よりも知恵、眷属を導く統率力が必要となる。これは何も『レーティングゲーム』の時だけでなく実戦においてもだ。その為には基礎を固めるのが先決だ。基礎が脆けりゃ、どれだけ高度な技術を身に付けてもあっという間に崩れるだけだからな」
アザゼルの説明に納得したのかそれ以上は、文句は無いとばかりに頷いて引き下がるリアス。そしてリアスが下がった後に朱乃がアザゼルの前に立つ。その目には強い意志が宿っておりアザゼルはそれだけで朱乃が何を決めたのかを悟った。しかし、それを少したりとも表に出すことは無く、敢えて確認するように声を大きくして修行内容を言い渡す。
「お前は自分に流れる血、堕天使の血を受け入れろ」
「大丈夫ですわ。私は受け入れます」
朱乃は朗らかな笑みを浮かべながらアザゼルから手渡された紙を受け取る。朱乃はほんの少し前までは自分の血に流れる忌々しい力の事を嫌っていた。かつてライザーとの『レーティングゲーム』でもその力を使えば相手の『女王』を難なく撃破出来たはずだがそれを使わなかった。
ただ、自分が嫌いだからという我儘で自分の『王』を、仲間を敗北の危機にさらしたのだ。そのことに気づいてはいたが朱乃は決心を決められなかった。ただ、難しく考え込んでドツボに嵌っていたのである。しかし、今の彼女は単純明快なことに気づいたのだ。
「意外だな。どういう心境の変化だ?」
「変化というより……気づいたんですわ。力を使えば守れた人を使わずに守れないなんて余りにもバカバカしいというこ
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