三十八話:偶には旅もいいよな
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トルに出来るんだから俺にも出来るだろうと始めてみたけど今のところは順調に進んでいる。まあ、偶に失敗して全身に展開しそうになるけどな。
「じゃあ、精神的な部分は順調かしら?」
「……どういう意味だ?」
「彼女さんと離れて大丈夫かって意味よ。昨日も寝言で五十五回も黒歌って呟いていたわよ」
ヴァーリからの指摘に思わず黙り込んでしまう。俺そんなにも黒歌って呟いていたのか……なんか恥ずかしいな。起きている時には隠せていても寝ているときには本音が出ているんだろうな。黒歌に会えないのが大分きているんだろうな。というか、他人に聞かれるなんて理由を抜きにしても恥ずかし過ぎる。
……ん? 他人? 昨日は宿に泊まっていたから確か女性であるヴァーリとは別の部屋だったはずだ。俺はアーサーと美候と相部屋だったから二人がヴァーリに伝えたのか。そう思って二人を見るが二人はそんなことは知らなかったとばかりに首を横に振る。……どういうことだ? 俺はジト目でヴァーリを見つめる。
「ヴァーリ、何でそれを知っているんだ?」
「もう……女の子にそんなこと言わせないでよ」
「まってくれ! 一体全体、俺に何をしたんだ!?」
俺が尋ねるとポッと顔を赤らめて頬に手を置くヴァーリ。そう言えば、今朝起きた時にパジャマのボタンが全部空いていたような気がする……あの時は熱くて外したんだろうとしか思わなかったけどまさか俺、襲われていたのか!?
再びヴァーリに問いただす。頼む……どうにか一線で踏みとどまっていてくれ!
「昨日寂しかったから寝ているあなたを私の部屋に連れ込んで―――」
「頼む……添い寝で終わってくれ」
「あなたの上着を脱がして―――」
「もうだめだぁ……おしまいだぁ」
「あなたが彼女さんの名前を呟き続けるから諦めて部屋に帰したわ」
ヴァーリの最後の言葉に安堵して崩れ落ちる俺。良かった……寝ている間に浮気をさせられていたなんて黒歌に何て言って謝ったらいいか分からないからな。というか、黒歌の名前を呟かなかったら俺は何をされていたんだろうか? ……ダメだ、考えようとするだけで頭痛と悪寒がするからこの考えは中断しよう。俺はフラフラと立ち上がりながら食器を洗いに行く。その過程でヴァーリがアーサーに何やら耳打ちしていたがどうせ碌でもないことだろうと思って聞かなかった。
「アーサー、それでルフェイ達は今どこに居るのかしら?」
「今現在は夏休みの為にグレモリー眷属と共に冥界に行っています。先程、美候と一緒に冥界に調べに行ったので間違いはありません」
「そう……それじゃあ、時期が来たら冥界に行かないとね。
このままじゃ、ルドガー君は戦う前に―――壊れちゃいそうだから」
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