第6章 流されて異界
第111話 試合開始直前
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それでも――
「あたしの何処が我が儘だって言うのよ! あたしはあんたみたいな、他人がどう考えて居るのか無関心なヤツは大嫌いなのよ!」
本当の事を指摘されたから怒った……と言う面もなきにしも非ず、と言う感じなのですが、彼女にしては珍しく声を荒げるハルヒ。
いや、大きな声を出す事はあるのですが、今までの彼女が本当に不機嫌な時は声を荒げた事はなかったはず。
それに……。
僅かに眉を顰めて記憶の奥深くを掘り返す俺。
それに確か、彼女が因子を植え付けられたとされているシュブ=ニグラスに関する古の書物の中には、自分の事ばかり考えて居て、他者には無関心のヤツラはキライだ、と言う一文が有ったような記憶があるのですが……。
「確かにハルヒは、ただ我が儘なだけのヤツではないな」
ただ、このまま傍観者になって仕舞うのは問題ありか。そう考え、話の主導権がハルヒに移り掛けた状況を、無理矢理にこちら側に引き戻そうとする俺。
確かに表面上の彼女の行動はやや強引で、我が儘と称されても仕方がないようにも見えます。が、しかし、それでも有希や万結。それに、弓月桜などはクラスで孤立しそうな性格ですし、さつきにしたトコロで、別の意味で孤立するタイプの人間でしょう。その人間たちをすべて自分の保護下に置いてクラスで孤立しないようにした、と好意的に考えると、意外に面倒見が良い人間の可能性も有ります。
まさか、大人しそうな娘ばかりだから自分の言う事を聞くだろう、などと言う非常に人間臭い……と言うか、低レベルな思考の元に彼女らをSOS団に巻き込んだとは思えないから、なのですが。
「ただ我が儘なだけって、その言い方じゃあまるで、あたしに我が儘な一面があるみたいじゃないの!」
かなり不満げな様子のハルヒ。もっとも、これで先ほどまでの話が一度リセットされる事となるはず。その後は普通の野球の試合に進んで貰えたら問題はないのですが……。
不満の矛先を自らの方に変えさせた事で、少し混沌としてきた状態を、自らがコントロール出来る状態へと引き戻せたと安堵する俺。
確かに現状は異常事態が進行中なのですが、それ即ち死者が出る可能性がある状態だ、などとは言い切れませんから。
「人間誰しも我が儘な面は持って居るモンや」
それをのべつ幕なしに続けるか、場所や状況を考慮する。相手を限定する等を行うかで印象は変わる。
口ではテキトーに爆発寸前のハルヒを宥めるような言葉を続ける俺。しかし、思考の部分は別の懸案。先ほどまでの思考を更に進め続ける。
そう、少なくともこの世界――。水晶宮やその他の組織がかなりの能力者を有するこの世界にヤツラ二人が顕われて、無事に逃げ去りたいと考えるのならば長時間の滞在は危険だと判断しているはずです。更に
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