暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第111話 試合開始直前
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そう、目の前のグラウンドでは何時の間にか一年九組の練習時間が終わり、俺とハルヒ以外のメンバーが、それぞれの守備位置に散ってキャッチボールなどを始めて居たのでした。


☆★☆★☆


 横一列に並ぶ両チーム。
 普通に男子生徒だけの一年九組と、
 片や、何故か女子生徒だけが目立つ一年六組。人数に関しては十五人のメンバーがいる九組に比べて、九人ギリギリしかいないウチの方が、寄せ集め感が強い。

 まして、六組の方は北高校指定の体操着に普通のスニーカー履きでの登場なのですが、九組の方はユニホームに関しては統一感がない感じ……。おそらく、それぞれが以前に所属していたチームのユニホームなのでしょうが、そのユニホームと、靴に関してもちゃんとした野球用のスパイクを履いた状態。
 これは試合に対する入れ込み具合からして大きな違いがある、と言う事なのでしょう。

 目の前に並んだ男子生徒たちの姿に、憧憬……野球が好きな人間ならば必ず持つであろうと言う感情と、そして、高が進学校の時間潰し的意味合いの濃い球技大会に、何本気になって挑んでいるんだよ、と言う呆れにも似た感情がない交ぜになった視線で見つめる俺。
 そんな俺に対して、

「よお、久しぶりだな、忍」

 正面……。九組の、向かって左から二番目に並ぶ男子。オーストラリアからの交換留学生リチャードと言う名前の青年が話し掛けて来る。
 かつての友人に対する口調そのもので……。

 その青年。いや、見た目から言うと身長などから青年と言う雰囲気なのでしょうが、高校一年生設定と言う事から考えると、年齢的には少年と言うのが相応しい相手。
 取り立てて特徴がある顔立ちと言う訳ではない。身長は俺と同じぐらい……よりは多少低いかな、と言う感じだから、高一としては高い部類の百七十センチ台中盤ぐらいですか。そして、やや猫背気味なのも俺と同じ。理由もおそらくは俺と同じで、あまり背が高い事を周囲に印章付けたくないのでしょう。
 ハルヒが傍に居たのなら、しゃんとしなさい、と言って直ぐに背中を叩きに来るに違いない立ち姿。
 雰囲気は何処か茫洋として居て……。何と言うか無害な草食動物か、もしくは日なたでのんびりとして育った……やや育ち過ぎた感のある植物と言う感じですか。どう考えても、この正面に立つ青年からは、覇気だとか、気概だとか、熱血だとか、そう言う熱く迸るようなものを感じる事は出来ません。

 但し――
 但しそれは、普通の人が感じる事が出来る表面的な感覚だけ、ならば。

「やれやれ。俺は日本語が通じる相手にしか知り合いはいないはず、なんやけどな」

 少し肩を竦めてから、この世界に来てからの設定に矛盾しない答えを返す俺。そう、()()()()の俺の知り合いに、ヒア
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