第6章 流されて異界
第111話 試合開始直前
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が現実に存在しているのなら、神に二物も三物も与えられた人間だと言う事に成る相手。
「オーストラリアからの交換留学生ランディと――」
朝倉さんがそう言った瞬間、件のイケメン。ランディくんがバッティングピッチャーの投じたストレートを軽く一閃。
乾いた金属音を響かせた白球は、そのままライトの遙か頭上を越えて行った。
ここの校庭で打球を外野が処理出来なければ間違いなくランニングホームラン。何故ならば、ここは公立の総合選抜制を行う普通の進学校。野球部の専用球場など公立の総選高には通常は存在していない。
つまり、打球が外野の後ろを転々とする間に、打ったバッターランナーの足が余程遅くない限り、あっさりと一周回って来て仕舞いますから。
「もう一人。エースで同じくオーストラリアからの留学生リチャードくんが中心のチームかな」
そう言いながら視線を三塁側のベンチ……。単にパイプ椅子を幾つか並べただけの簡単な物なのですが、そのベンチの前で試合直前のピッチング練習に熱が入る男子生徒に移した。
小気味よいミットの音。但し、ここから見た限り、球速はハルヒのソレに毛が生えた程度。ハルヒが中学生のエースが投じる速球と考えると、こちらは地方大会がやっとの高校球児程度。
まぁ、一般の……と言うか、進学校の高校生に簡単に打ち崩せるとは思いませんが、凡百の高校球児ならば打ち崩せる程度と見るべきレベル。
但し……。
「なぁ、朝倉さん」
視線をグラウンド側に向けたまま、自らの左隣に立つ少女に話し掛ける俺。その二人の間を真冬に相応しい風が吹き抜ける。
そう、彼らに相応しい冷たい風が……。
「俺にはそのランディ&リチャードの二人組は日本人にしか見えないんやけどな」
出来るだけ軽い……何の問題もない普段通りの雰囲気を維持させながら、そう続ける俺。
但し……。
「よく知らないのだけど、おそらく片親の方が東洋人なんじゃないのかな」
こちらも普段通りの彼女の口調。しかし、彼女の声音の中には微かな緊張のような色が混じる。
ランディとリチャード。身長に関しては俺とそう変わらないように見える。体型に関しても、服の上から見てスリムな雰囲気。
髪は共に黒髪。かなりの美少年と言うべきランディと、まったく特徴のないリチャードと言う違いはあるけど、後姿だけを見て俺と、そしてランディ&リチャードの見分けを付けるのは難しいかも知れない。
俺の髪の毛が黒髪ならば、なのだが……。
まぁ、何にしても――。俺は少しそう考えてからもう一度、件の二人を見つめ直す俺。
今度は能力を籠めて。
俺と同じような体型と、雰囲気を持つ少年たちを……。
そう、確かに雰囲気――神気を纏う気配と言う物
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