第5部 トリスタニアの休日
第2章 魅惑の妖精亭
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日は三人ぐらいには聞けるようにしとけ」
「わ、わかってるわよ!」
ウルキオラは溜息をつくと、持ってきたであろう本を開いて読み始めた。
ルイズはベッドに近寄り、バフンっと飛び乗った。
ルイズが寝たのを確認したウルキオラは、ルイズの頭の下に埋もれた自分の腕を慎重に抜き出し、静かにベッドから下りた。
時間は深夜の二時ごろだろうか。
ウルキオラは宿屋から外に出た。
不穏な動きがないか、調査するためである。
宿屋の羽扉を押し開け、外に出ると、見たことのある顔があった。
黒髪を胸のあたりまで伸ばし、大きく胸の開いたワンピースを身に着けている。
ジェシカであった。
「あ、ウルキオラ」
ウルキオラの姿を見たジェシカは、嬉しそうな顔を浮かべた。
「なにをしている?」
「いや、ちょっとあんたのことが気になってね」
ジェシカは不敵な笑みを浮かべた。
「とりあえず、私の部屋に来てよ」
ジェシカは背もたれを抱えるようにして椅子に腰かけた。
「何の用だ」
ジェシカは微笑んだ。
「いやね、あったしー、わかっちゃった」
「何がだ?」
「ルイズ、あの子、貴族でしょ?」
ウルキオラは目を細めた。
「あ、いやね、私はパパにお店の女の子の管理も任されてるのよ。女の子を見る目は人一倍だわ。ルイズ、あの子ってば行動が不可解だもの。おまけに妙にプライドが高い。そしてあの物腰……、たぶん貴族ね」
ウルキオラは溜息をついた。
粗末なワンピースまで着せたというのに、ばれている。
何が身分を隠して、だ。
全く持って隠れていない。
「その通りだ」
ウルキオラの肯定の言葉を聞いて、ジェシカは微笑んだ。
こいつ……それが聞きたくてわざわざ俺をここに連れ込んだのか?
「首を突っ込むな。命が惜しければな」
ウルキオラは低い声で言った。
これ以上詮索されたくないのだ。
しかし、ジェシカには通用しなかった。
「えー!なにそれ!やばい橋渡ってるの?面白そうじゃない!」
身を乗り出して、ウルキオラに顔と……胸を近づける。
そして、ジェシカがにやっと意味深な笑みを浮かべた。
「ねえ」
「なんだ?」
「あなた、女の子と付き合ったことないでしょ?」
図星である。
「それ以前に人間との付き合いが薄い」
「人間と?どゆこと?」
ジェシカは心底理解できていない様子である。
「そのままの意味だ」
そう言って、ウルキオラは扉へと向かった。
「これ以上用がないなら、俺は行くぞ?まだやることが残っているからな」
「ちょ、ちょっと待ってよ
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