第5部 トリスタニアの休日
第2章 魅惑の妖精亭
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平民にため口を聞かれることだけでも屈辱なのに、こちらが気を遣わなくてはいけないという状況にムカムカしていた。
「なんだい?お嬢ちゃん」
感じのよさそうな細身の男が、笑顔を浮かべながらルイズを見つめている。
「まあ、とりあえず座りな」
「ど、どーも」
ルイズはぎこちない様子で椅子に腰かける。
「とりあえず、注いでくれるかい?」
平民に平民に平民に酌?貴族の私が?貴族の私が?貴族の私が?
頭の中で、そんな屈辱的な想いがぐるぐる回る。
「どうした?早く注いでくれるかい?」
ぷは!とルイズは息を吐き、気持ちを落ち着かせた。
これは任務。
これは任務。
平民に化けて情報収集。
じょうほうしゅうしゅう……。
呪文のように口の中でぶつぶつつぶやき、なんとか笑顔を作る。
「わ、わかったわ」
ルイズは瓶を持ち、ゆっくりと注ぎ始めた。
ゆっくり注いだので零れることはなかった。
「ありがとよ」
男はそれを一口で飲み干す。
「んで、なんだい?聞きたいことって?」
男は酌をしてくれた代わりにルイズの話を聞くようである。
「あなたは今のトリステインをどう思う?それと、反乱とかそういう話は聞いてる?」
ルイズは慣れない作り笑いをして、質問した。
「うーん、まあ、一言で言えば、不安だよ」
「不安?」
ルイズは聞き返した。
「戦争はまだ終わってないし、タルブの村襲撃の際は追い返せたようだけど、これからはそうはいかないだろうよ。未だ革命のような話は聞かんが、このままいけば反乱……なんてことも……」
「なんですって!」
ルイズは思いっきり机を叩いた。
男はびくっと体を震わせた。
「ど、どうしたってんだ?急に?」
「わ、悪かったわね……」
ルイズは気持ちを落ち着かせ、謝罪した。
深呼吸する。
超絶疲れた。
「ありがと」
「あいよ」
そういって、ルイズは元いた席に戻った。
「ありがとうございました〜」
一人の女の子が最後の客を見送った。
「閉店よ!みんなお疲れ様!」
スカロンの言葉を合図に女の子たちは、わいわいとおしゃべりを始めた。
スカロンは、少ししたら後片付けね!と言い残して、ウルキオラとルイズの座る椅子へと足を運んだ。
「お待たせしたわね」
スカロンはウルキオラに向かって言った。
ウルキオラは端然とワインを飲んでいた。
ルイズはというと、机に伏っしてなにやらぶつぶつと呟いている。
「どうしたの?ルイズちゃん……」
スカロンは心配そうにルイズを覗き込む。
「変なプライドが仇となっ
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