暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
88話:久しぶりのガチ喧嘩
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た士が消えたのと、なのはの砲撃が命中するのはほぼ同時だった。
士が消えた事には驚いたが、すぐに爆音が響いた事で四人の視線はなのは達の方へと移っていた。
三度立ち込める煙に、スバルがティアナの名を叫ぶ。親友である彼女が、意識が朦朧としているところに砲撃を受けたのだ。当然の反応だ。
しかし、その肝心のティアナの姿が見当たらない。あれだけの攻撃ならウイングロードから落ちてきてもあり得なくない。だが煙から落ちてくる物はない。
「―――ったく、テメェは何してんだよ…なのは」
その時煙の奥から聞こえてくる声にスバルは驚き、なのはは眉を寄せる。
少しずつ煙が晴れていく中、人の影が段々と見えてくる。その人物は左の掌を正面に向け、何かを抱えた状態で仁王立ちをしていた。
そして煙が完全に晴れ、その姿がはっきり見える。
「つ、士さん!」
そう、その人物とは先程まで離れた別のビルの屋上にいた筈の士だった。左手の先にはマゼンタ色の魔力障壁が展開されており、その脇には気を失っているらしいティアナの姿があった。
「……何をしてるか? それはこっちにセリフだよ、士君」
「あぁ?」
「今は模擬戦中、つまり教導中だよ? 士君は邪魔をしにきたの?」
そう言って腕を降ろすなのはに、士は「はぁ…」とため息をついた。
「模擬戦だぁ? スバルは拘束、ティアナは戦意喪失でもうとっくに終わってるだろ。そんな状況なのに、さっきのお前の追撃は度を超えていた。だから止めただけだ」
「……模擬戦はまだ続いていたよ」
「はっ! だったらお前ら教導官は、ボロボロになった奴に追い討ちをして落とすのが趣味なのか? いい趣味してるな」
とにかく、今回の模擬戦は終わりだ。
そう言って士はウイングロードから飛び降り、スバルのすぐ側に着地する。そしてライドブッカーを剣にして、スバルに巻き付いているバインドを斬りさく。
「スバル、動けるか?」
「は、はい…」
「じゃあ取りあえず、ティアナを頼む」
え? と声を漏らすスバル。そんなのにお構いなしに、士は抱えていたティアナをスバルに預ける。
「あ、あの…」
「それと―――俺の後ろから動くなよ」
「え…?」
士はそう言い残すと、呆けているスバルに背中を向けた。その士の正面には、仁王立ちし続けるなのはの姿が。
両者が睨みをきかし、沈黙が空間を支配する。二人共口を一切開かず、鬼のような表情で睨み合う。
「…どうしても、邪魔をするの?」
「…さっきも言った筈だ、模擬戦は終わりだと。さっさと帰るぞ」
最初に口を開いたのは、なのはの方だった。その後少し様子を見るように、士が語り掛ける。
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