三十七話:悲しみ後に覚悟
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るものの何も言い返せない。全て事実だからである。自分達はルドガーが居なくなってすぐには探したがそれ以降は諦めて何もせずに立ち止まっていただけなのだ。何もしようとせずにただ無為に時間を過ごしていただけという事実にイッセーは自分を殴りたくなった。諦めが悪いのが強さだと言われて自分自身もそうだと思っていた。
だというのに自分はそれを言ってくれた相手を追う事を諦めていた。今回の事でもそうだが、心のどこかで実力においても追いつけないのだと思っていた節がある。思い返せば、自分は諦めなかったが自分自身の力で勝ったと言えるものは何一つない。いつも、仲間が、ルドガーが助けてくれていたのだ。そのことに自分は甘えていた。諦めなければ自分が勝てるではなく、誰かが来てくれるにいつの間にか変わっていたのだ。
そのことに今更ながらに気づいてイッセーは唇を血が出る程に噛みしめる。情けない。ただ情けない。でも……そのことに気づいたのならもう悩むことは無い。イッセーはリアスの方を向き、覚悟を決めて口を開く。
「部長―――ルドガーを連れ戻しましょう」
その言葉に目を見開くリアス。そしてリアスが何かを言う前にアザゼルが意地悪く口を挟んでくる。
「連れ戻せるのか? あいつはお前らより何倍も強いんだろ?」
「今のままでダメなら強くなればいい。それでもダメならまた強くなればいい。
俺はあいつを連れ戻すことをもう絶対に諦めない! あいつが俺の友達だから!」
「謎の多いルドガーを信じられるのか?」
なおも揺さぶりをかける様にアザゼルが聞いてくるが、覚悟を決めたイッセーの心は揺らがない。イッセーは選んだのだ、何があっても、もう絶対に諦めないことを。そしてその覚悟はイッセーに新しい強さをもたらした。それは―――
「信じることを信じ続ける。それが本当の強さだ!
俺はあいつを何があっても信じ続けてやる!」
信じる強さ、例え何度裏切られたとしても決して信じることをやめない強さだ。
その返事にアザゼルは面白いとばかりにニヤリと笑い、他の者達にも顔を向けた。
そして再び同じ質問を投げかける、今度はしっかりと返って来るだろうと確信して。
「で、お前達はどうするつもりなんだ?」
「私達グレモリー眷属はルドガー・ウィル・クルスニクに多大な恩があるわ。その恩返しも兼ねて、必ず連れ戻してあげるわ。あんなにイチャイチャしていた彼女と離れるなんて絶対に辛いでしょうしね」
そう言って、黒歌の方にウィンクをするリアス。彼女も迷いは消え去っていた。イッセーの言葉が全員の迷いや不安を消し去っていたのだ。ルドガーを連れ戻せば自分達もヴィクトルの脅威にさらされるだろう。しかし、それが何なのだろうか。
我が身の
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