三十七話:悲しみ後に覚悟
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人達への裏切りになると思ったのと、やはり悲しみにくれる姉を見放せないという理由で優しく姉の背中を撫でる。
「あいつ何やってんだよ……自分の恋人を泣かすとか何考えてんだよ、ルドガー…っ」
そんな姉妹の様子にイッセーは歯噛みしながら今はどこに居るかも分からないルドガーに文句を言う。早く、帰ってきてこの人を泣き止ましてやれよ、笑顔にしてやれよと心の中でルドガーに叫びかけるが当然のことながらその想いが伝わることは無い。そのことに歯がゆさを覚えイッセーはギュッと痛い程に自分の拳を握りしめる。そんな様子をアザゼルは見つめ面倒くさそうに息を吐き出す。そしてこうやって導いてやるのも教師の仕事かと思い口を開く。
「ルドガーって人間のことがある程度分かった所でお前達に聞くぞ。
で、お前達はどうするつもりなんだ?」
アザゼルの言葉に誰一人として答えを返せずに茫然とする。そう、これからどうするかを彼等は考えられていなかったのだ。ただ、悲しみにくれるだけで何もなさずに立ち止まっている状態なのである。それをアザゼルは指摘したのである。何も答えられない彼等に対してアザゼルは少し追い打ちをかける様に話を続ける。
「俺はルドガーと大して話したことがねえから性格とかはよく分からねえがな、今回ばかりは断言させてもらうぜ。ルドガーはお前らを……自分の女を守る為に離れて行った。何も行動していないお前達と違ってな」
「私を……守る為?」
「ちょっと考えれば簡単だろう。今の自分達じゃ絶対に勝てない敵が自分を狙ってきてんだ。敵の狙いが自分なんだ、仲間を守る為なら離れるのが一番簡単だ」
アザゼルの言葉に押し黙る黒歌。黒歌も頭では分かっていたが感情を優先させて自分が依存していた相手に置いて行かれたことに嘆き悲しんでいただけなのだ。ルフェイも置いて行かれた時点で感づいていた。しかし、それを認めてしまえばルドガーが戻って来ることは無いと分かっていたために決して認めようとしなかったのだ。
ルドガーは自分の為なら簡単に命を投げ出す。そのことは以前自分が人質に取られた時に分かりきっていたことなのだ。そんな彼が自分を守る為に動いている以上はヴィクトルが死ぬか自分が死ぬかのどちらかまで帰って来ることは無い。そしてヴィクトルに勝てる確率は現状0%なのだ。故に彼女はその可能性を認めたくなかった。だが認めてしまった以上はそのままにしておくことなど出来ない。
「どうしてそれにお兄様や美候さん、ヴァーリさんまでついて行っているのですか?」
「他の二人は知らねえが……ヴァーリは戦うのが生きがいだからだろ。それと……それだけの覚悟を持ってルドガーについて行っている。今のお前らと違ってな」
アザゼルの厳しい言葉にイッセー達はムッとす
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