三十七話:悲しみ後に覚悟
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罪のない人を殺してきた人間だと言っていましたわね……」
「で、でもルドガー先輩は優しい人ですうぅぅ。こんな僕でも受け入れてくれました」
ゼノヴィアの言葉にそう言えばとばかりに思い出したリドウの言葉を言っていく朱乃。そんな朱乃にギャスパーが反論の声を上げるが勿論、朱乃とてルドガーという人間がそのような事をする人間には思えなかった。しかし、それを聞いていたリアスはそれもあり得るとルドガーのある発言を思い出していた。
「ルドガーは黒歌を傷つけるようなら誰であろうと俺は容赦しないと言っていたわ。それにお兄様に言った『世界も絆も幾らだって壊してみせる』なんて発言もあるわ……。ルドガーはゼノヴィアの言う通りのことをしてきたのかもしれないわね」
リアスの発言を聞いて黙り込むグレモリー眷属達。確かにそうだ、彼等もそのルドガーの発言をしっかりと聞いていた。その時は比喩的な発言だと思っていたが、それが過去に裏付けされた物だとすると話は違う。ルドガーという人間の異質さが今更ながらに感じられ、リアス達は今まで見ていたルドガーは何だったのだろうと自問自答を繰り返す。
そんなリアス達の様子をしり目にアザゼルは情報を整理していく。
「ヴィクトルが本当に十年後のルドガー・ウィル・クルスニクだとすると“世界の破壊者”って言っていたのもあながち嘘じゃねえってことか……しっかし、未来から来た自分なんて信じられねえな。本当にあれはルドガー・ウィル・クルスニクなのか?」
「それは間違いないにゃ……全く同じ気を持っている人間なんていないはずなのにルドガーとヴィクトルは同じだった。だから、ヴィクトルがルドガーだっていうのは間違いないにゃ。ただ……」
「ただ?」
「ルドガーは暖かく感じるけど……ヴィクトルはまるで氷みたいに冷たく感じたにゃ」
アザゼルの疑問に実際に気を探って調べた黒歌がまだ若干俯きながら反論する。
実際にルドガーとヴィクトルが“ルドガー”という人間であることは間違いない。しかし、その中身まで一緒というわけではない。それを示すように黒歌は些細ではあるが大きな違いに気づいていた。
そのことは二人が同じ人物でありながらも違う選択をしてきたという事を示していたが黒歌はまだその真意にまでたどり着けない。今は、ただただ、ルドガーが居なくなったことに悲しんでいるだけだから。
「ずっと傍に居てくれるって約束してくれたのに……ルドガーの嘘つき…っ!」
「……姉様」
顔を覆って泣き始める黒歌に白音は優しく寄り添う。白音は自分がかつて黒歌に置いて行かれた時もこんな状態だったと思い出し、少しばかり因果応報という言葉を思い出してしまったが、だからと言ってここで姉を突き放してしまうのはあの時自分を支えてくれた
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