三十七話:悲しみ後に覚悟
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にいる全員の視線がアザゼルに集中する。アザゼルの顔つきは先程までとは打って変わり真剣なものになっていた。そのことがこれから始まるであろう話の重要性を高める。アザゼルは、まずはゆっくりと全員を見まわして反対の意見が無いかを確認した後に口を開く。
「あいつの過去を知る手がかりがあるなら何でもいいから言っていけ。あいつにしろ、ヴィクトルって奴にしても謎が多すぎる。これからどうするにしても今はとにかく情報が必要なんだよ」
アザゼルの言う通り、ルドガーもヴィクトルも謎が多すぎるのだ。このままでは行動の指針も立てられずに今のまま沈み込んでいる事しか出来ない。だからこそ、アザゼルはこのタイミングで全員を呼び出して話を聞こうとしているのだ。
祐斗はアザゼルの言葉に気乗りしないものの、何とかルドガーとの記憶を掘り起こす。真っ先に出てくるのはトマト好きということだが今回欲しいのはその情報ではないのでそれを頭の片隅に追いやり別の情報を捜し、見つけ出す。
「僕が知っているのは、彼は誰かを守る為に戦ってきたことと、大切な者を失った経験があること……かな」
「そいつらが誰かは分かるか?」
「そこまでは知らないよ。それに、後半は彼から直接聞いたわけじゃないからね」
祐斗の返事に軽く頷いて別の意見を待つアザゼル。祐斗としてはもう少し深く突っ込まれるかと思っていたので意外そうな顔をするがすぐに意見が出やすいようにするためにプレッシャーをかけないようにしているのだと気づき少しだけアザゼルの評価を上げる。
その様子を見ていたイッセーも何か少しでもルドガーの手掛かりになることはないかと懸命に頭をまさぐって情報を見つけ出そうとする。そして見つけ出すことに成功して早口で見つけた情報を言いあげていく。
「“選択”って事に凄いこだわりを持っていた」
「選択?」
「ああ、ライザーに対してブチ切れながら言っていたからよく覚えてる。後……“審判”とか言っていた。俺に分かるのはそれ位だな」
「選択に審判……何なんだよ、一体?」
謎の言葉にアザゼルは首をひねり自分の長きにわたる記憶の中から該当する物を探してみるが皆無だったために諦めて息を吐く。そして何かあと少しで喉から声が出てきそうな顔のゼノヴィアを見る。
ゼノヴィアは以前にルドガーと一緒にエクスカリバーを探していた時の事を思い出していた。しかし、あと少しと言うところで中々出て来ずに苛立っていたが遂に探していた言葉が見つかりパッと顔を輝かせて喋りはじめる。ゼノヴィアは、成績は良いが実はアホである。
「ルドガーは、自分は愛する一人の為に全てを壊してきた、大罪人だと言っていた」
「そう言えば、あのリドウという男もルドガー君が自分の欲望の為に平気で
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