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Dies irae短編小説
Ah, wann treffen sie sich wieder?
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がて微笑んだ。

「私はカリオストロと申します。ハイドリヒ神父」
「カリオストロ……」

聞き覚えは―――無い。
だが、この拭いきれない違和感はなんだろうか。
初対面でないかのような。それどころか、気安さすら感じる。

「……神がおられるこの地で神職に就かれている感想はいかがかな」
「何?」
「いえ、私に神父のお知り合いはいないもので。
どのような気持ちでいつも此処におられるのだろうかと。
やはり毎日の礼拝で日々神に祈られているのでしょう」
「……」

カリオストロの問いに、ハイドリヒは振り返りもせずに黙り込む。
己のままに言えば、おそらく男も「何を言っているのか」と呆れるか憤慨するか。

「神には感謝している。我ら人間を常に見ていてくださり、愛してくださっているだろう。
いかなる罪も憐憫も包み込んで、抱いていらっしゃるのだ」
「―――あぁ、確かに」

男がゆっくりと、だが心の底からそうだろうと頷いた。

「神の愛は、何にも劣らない。総てを愛して、抱きしめてくれている」
「……」
「故に。我々は今、何よりも幸せだ」

そう語る男の表情は満たされている。嘘ではない。事実そうなのだと疑っていない。

「ああ、感謝しなくては。神に、女神に」
「……女神?」
「天上の神々には、美しく、何にも劣らない美を有し、曇りない愛を持つ女神もおりましょう」

嬉しげに、楽しげに、男は語る。
その表情はまるで、

「卿、も」
「―――何かな」

いや、まさか。そのような馬鹿で愚劣な存在が己以外にいるなど有り得ない。

「ああ、もう大ホールだ」
「!」

廊下を抜け、たどり着いた場所はミサを行っていた、この大聖堂のメインホール。

「ありがたい。ここまで来れば私も迷わない」
「……」

男が横をすり抜けてホール内へと歩いていく。
その背は頼りなく、細い。だが、幻視する。

自分は、視た事がある。

「さてさて。おかしな出会いをした」
「―――何?」
「何故か、私にも解らないのだよ」

聖堂のステンドグラスから漏れて差し込む夕暮れの紅い陽光。
その光が、男の身体を通り抜ける。
これは、幻覚なのか。

聖堂内に人はいない。

在るのは、ハイドリヒとカリオストロのみ。

「何故、視えているのか。これはマルグリット……君の仕業かね?」

男の言葉を理解できない。
だが、記憶の底なのか、本能なのか、何処かで解っている。


「私が―――」


無意識に漏れた言葉に、黒い影が振り返る。



「会いたい、などと、思ったからか―――」



会って、語り合いたいと。


影が目を見開く。
瞬間、

「っ……っ?」

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