第五話
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は思わなかったけど、私って鈍感だったのね……本当、申し訳なくなってくるわ。
「ありがとう、でもその気持ちには応えられない。だけど、好きになってくれた事は嬉しかった」
不思議と気持ち悪い、って気がしなかったのは相手が小十郎だったからかもしれない。
真摯に返した私に小十郎は憑き物が落ちたように穏やかな表情で笑っていた。
「ありがとうございます、姉上。やっと……これで弟に戻れそうです」
笑ったまま再び落ちた涙に、私はしっかりと小十郎を抱きしめていた。
「これはお姉ちゃんとして、だからね? ……しっかり泣いちゃいなよ、怒ったりしないから」
私に身を預けて泣いている姿は、久しく見てなかったと思う。
ちっちゃい頃は割合よくあることだったけど、ある程度になってからはすっかり無くなってしまった。
懐かしいと思う反面、そこから恋心が出始めたのではないかと思えば、何だか哀れにも思えてしまう。
ずっと謝りながら泣き続ける弟の頭を撫でて、気が済むまで付き合ってやることしか出来なかった。
さて、翌日。
私は城を出て一人あても無く旅に出ることになりました。
いや、追い出されたわけじゃないよ? 小十郎の勧めでほとぼりが冷めるまで奥州から出ることにしたわけです。
政宗様から逃げるため、っていうか……少し、冷静になってもらいたいというのもあって。
それに、小十郎ともしばらく距離を置かないと、向こうもキツイだろうしさ。
本当の兄弟に戻るには……ちょっと時間が必要かなって。
でも、正直なところ不安がないわけでもなく……
私が逃げたってことを知れば、その咎めが小十郎に向くわけじゃない。恨むよ、って言ってるわけだしさ。
流石に切腹までは申し付けないだろうけれども、それでも何らかの沙汰はありそうな気がするし。
「小十郎のことは御心配召さるな。
政宗様も冷静になれば、此度の事は過ちであったと気付くでしょうから」
別れ際にそう言って笑ってはいたけれども、それでもお姉ちゃんは心配なんですよ。
泣き腫らしたままの目でそう言われてもさ。
……だからといって、素直に政宗様のモノになってやる気はないんだけどね。
しかしこれからどうしよう。
きっと政宗様のことだから私を追いかけようとするだろうし、私もそれから逃げていくことになる。
でも、いつまでもそんな風にして逃げ回る気は無いし、
政宗様の頭が冷えた頃を見計らって伊達に戻るつもりでいる。
出奔って言っちゃえばそうだけど、戻るつもりがあるからどちらかと言えば家出の方が感覚としては近い、かな?
でもなぁ、頭が冷えてもしばらくすれば、
また間違いが起こるんじゃないのかって気がしなくもないし……どうしたものかな。
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