第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『R'lye text』
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体勢を立て直して。
「……危ねぇな、警備員は何やってんだよ」
《む、もしやあれが『衛星兵器』とか言う奴かの?》
(ンな訳あるかよ……莫迦も休み休み言え)
そんな事を呟き、それきり意識する事はなく。この時、起こっていた『事件』など知る由もなく。
辿り着いた『純喫茶 ダァク・ブラザァフッヅ』。薄暗い路地裏の僅かに開けた敷地の中に停車、螻蛄に戻った鎧と共にライダースーツとヘルメットから不定形に戻ったショゴスが影に潜り込み、消えていく。
《では、儂も引っ込んどくかのう》
(何だよ、手伝えよ。態々俺を呼ぶなんて、結構な人数来るっぽいぞ)
《働いたら負けだと思うておる》
(そのまま永遠に朽ち果てろ)
ついでに、“悪心影”が傍観を決め込んで。背後の虚空に、人の目には捉えられぬ『翳』として揺らめくのみ。
後は、嚆矢一人が残るのみで。只一人、溜め息を溢しながら。
「……さ、仕事仕事」
だが、元から大して他者の心など忖度しない彼は大して気にしない。嚆矢は、只有るがままに。有りのままに擦り抜けて。
異形の彫刻が施された木製の扉を開く、異質な金属のドアベルの冒涜的な音色を聞いて。
「いらっしゃい。待っていましたよ、コウジくん」
「こんばんはです、ローズさん」
しっとりとしたジャズを流す、古式ゆかしい蓄音機の音色に包まれた店内に待つ緋瞳の師父の笑顔に応えた。
………………
…………
……
時刻、二十時ジャスト。場所、純喫茶ダァク・ブラザァフッヅ店内。ギャルソン服を纏う嚆矢は、暇そうに椅子に座っている。
まぁ、事実暇だ。何せ、既に二時間もの間、一人として客など入っていないのだから。
「……………………」
“輝く捩れ双角錐”を内蔵する懐中時計を閉じ、仕舞う。それにより、彼の背後に影が立つ。
《『何だよ、手伝えよ。態々俺を呼ぶなんて、結構な人数来るっぽいぞ』》
(ちょっと何言ってるのか解りませんねぇ……)
背後に立った“悪心影”の嘲りを受け流しながら、暇を持て余して銀製の食器を磨く。不織布で優しく、曇りがないように。ムーディスティックなジャズの音色に包まれながらの作業は、妙な中毒じみた精神作用があった。
そんな風に集中していたからだろうか、ドアベルの冒涜的な音色に反応が若干遅れたのは。
「あ、いらっしゃ────」
開かれたドアから、微かに生臭い風を纏う二つの影。?屍のような中華風
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