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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
1.August・Night:『R'lye text』
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、無駄には出来ない。『彼女』には既に“膨れ女(ブローテッド=ウーマン)”が接触している」
「やれやれ……仕事が早いものだね」


 アレイスターの言葉に、“時間人間(チク・タク・マン)”が踵を返す。総時間、二分。銀時計の刻みは、狂い無く精確で。


「随分と『彼』に期待しているようだね……あの『()()()異能』は確かに面白いとは思うがね。何時から『()()()()()()()()』に加入したのかね?」
「死んだ北欧の神々の名を騙る愚か者どもにも、次元の狭間に引き籠もる暇人どもにも興味はない。“結社”は、我等の目的を果たすのみ」
「ふむ……機械の君にはやはり、相性が悪いかな?」


 その背中に掛かったアレイスターの言葉、それに“時間人間(チク・タク・マン)”は緋い瞳で────


「────面白い。実に面白い。君の諧謔(ジョーク)のセンスには、毎回脱帽させられるよ」
「そうかね? そこまで言われて悪い気はしないが」


 笑う、誰しもがうっとりと見惚れるように精密な機械の笑顔で。嗤う、誰しもがあっさりと発狂するような凄惨な鬼戒の笑顔で。人のものではある、しかし鮫のような。人外に違いない、しかし尋常な。
 だが、人ならざるのならば魔術師も同じ。その圧倒的な狂気、風のように受け流して。


「君達は────あの“双子”を()()()に呼び出して、何をする気なのかな?」
「君には、興味はあるまい? 私にこのビルが一体何であるのかも、君が“幻想殺し(イマジンブレイカー)”で何をする気なのかも興味が無いように」
「なるほど、道理か。手間を掛けたね、次は茶菓子くらいは用意しておくよ」
「期待せずに待っていよう」


 振り向きもせずに、実に簡潔に言葉を返して。“這い寄る混沌”の一柱たる“魔神”は、時間の波間に消えていく。
 魔術師はそれを見送り、愉しげに────微笑んだのだった。


………………
…………
……


 緩やかに茜色に染まる学園都市、第七学区の摩天楼(ビルディング)群が真横に流れていく。大嫌いな学園都市が、大嫌いな色に。そして一際嫌いな、真っ黒なビルが視界の端に。一瞥をくれてやる義理すらない。
 ショゴスによる黒いフルフェイスのヘルメットとライダースーツを纏う嚆矢は、ただ前だけを見詰めて自動二輪を転がして。


「…………あれ?」


 何か、大事な事を忘れているような気がして。だが運転中だ、気を散らすのは危険だと判断して集中を再開する。
 その刹那、凄まじい速度でトレーラーが対向車線を走り抜けていった。その巻き起こした颶風(つむじかぜ)に、危うく転倒しそうになって
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