「寒い」に隠された(ルパン三世/オリキャラ)
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「だーかーらー、寒いから嫌だって言ってるだろ」
先ほどからこの調子である。
布団を頭まで被った恋也とベッドに腰掛けるルパン。
この画だけを見れば、恋也を看病するルパン、と見ることも出来るのだが、実際のところはルパンが恋也に『良いじゃないの』とか『すぐに暖かくなるって』などを言っている。
「寒い」
何故こんなにも恋也は嫌がるのか、ルパンはそう思いながらもため息を吐いた。
赤いジャケットの懐からマッチを取り出して、煙草に火をつける。
電気をつけていない為、薄暗い部屋に煙草の煙が白く良く見える。
恋也は紺色の掛け布団を頭まで被り、目の前の壁を見つめた。
壁はやっぱり壁で暖かくなるわけも無いので、恋也は溜息を吐きルパンの方に向く事はせず、ただぼんやりと布団の中で、丸くなっていた。
「……そんなに俺とするのが嫌か?」
ルパンが不意に問いかける。
その瞬間、先ほどから少し赤く染まっていた恋也の頬が一気に赤くなる。
理解すれば誰だって赤く染まるだろう。
例え何度も体を重ねあっても、恥ずかしいものには変わらない。
だからと言って嘘を言うほど、恋也は嘘吐きではない。
実際、恋也の体は、凍えそうなほど震えている。
「嫌って言うより、今日は本当に寒いからまた今度で良いだろ」
ヘクシッ、言葉を言い終えた直後、布団の中からくしゃみが聞こえた。
当然恋也が放ったものなので、大体予測がつくと思う。
恋也がどんな状態なのか、この時点で気が付けばかなり観察力があると思う。
恋也はただ普通に寒いと言っているわけではない。
ルパンはいつものジャケットだけでいるのに、恋也は寒いと言って布団から出ない。
朝食も食べなかったので、ルパンと次元と五右衛門は恋也の様子を不思議に思った。
ルパンが様子を見に行くと言って恋也の部屋に来れば、ルパンの第一声が『また啼きたいのか?』と冗談で尋ねた。
それを間に受けた恋也は冒頭のような返事をして、お互いその先から進んでいないのだ。
ただの風邪と言い切って良いだろう。
恋也は今朝方から熱を出している。
本当にそれだけの事だ。
「くしゃみなんかしちゃって、よっぽど熱があるみたいだな」
「おまっ! 知ってたな……!」
自分が熱を出しているのを見破られており、恋也は怒りを含めながら上半身だけを起し、ルパンに怒鳴る。
だが、その怒鳴りは意味もなく散っていくのだが。
恋也は体力が落ち、まともに体を動かす事が出来ないでいるため、そのままベッドに沈む。
「ヌフフフ。ルパン様は何でもお見通し」
あっそ……、その返事だけをして恋也は目を閉じる。
寒さは変わらない。
だから布団を被って、出来るだけ暖をとろうとしていれ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ