大人の味には全て裏がある(LUPIN The Third〜峰不二子という女〜/オリキャラ/ルパン大集合続きA/R15)
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大人の味』で、不味いという訳ではなかった。
初めて飲んだから蒸せただけで、普段飲んでいれば飲めるだろうと言う、どこから来るのか分からない自信を恋也は持っていた。
使い古したような緑、正確には所々破れている深緑に近いソファに身体を預けて、天井を見つめながら恋也はぽつり、一言何気ない言葉を呟いた。
「ルパンと飲んでて美味そうな味だった」
それは単に酒を飲んでいたいと思っている。
同じ裏世界に住んでいるのだから、同じ酒も同じように感じられるだろう。
そう思ったから、ただそう呟いた。
「…………」
ルパンの上がっていた口元は下がっていた。
ルパンの目に恋也はどこか寂しそうな表情を浮かべている。
動物で表すと兎のような、今から捨てられる猫や犬みたいな表情をしていた。
「合わせてくれるだけでも、有り難いってもんよ」
組んでいた脚を下ろして、ルパンはグラスを片手に立ち上がり恋也の隣に腰掛ける。
恋也の肩に腕を回して半分抱きしめるような体勢になり、ゆっくりと右手を恋也の目の前に持っていき、恋也の前で右手に持っているグラスを、ほんの少しだけ傾けた。
氷を見せ付けるかの様に。
「合わせてるって訳じゃ……」
目を逸らしながら呟いて、目の前に持ってこられたグラスを見つめ、球体の氷を見つめている。
カラン、カラン、と氷が音を立ててグラスに当たっているのを、ただぼんやりと眺めていた。
いや、ぼんやりとしか出来なかった。
はぁ、はぁ、と息遣いを荒くしてとろんとした目で、氷を見つめていた。
それが分かるとルパンは肩を揺らしながら笑い、口を動かす。
「この酒じゃなく、この氷に『何か』が入っていたら、どうする?」
球体の氷に薬を仕込むのは簡単で、それを飲ませるのも簡単なことだ。
ただ、自分が薬入りの氷を取らなければ良いだけの話だ。
ルパンの問いすら答えることが出来なくなってきているのか、恋也はトロンとした目でルパンを見つめて、「……うん」と意味も分からない、何に肯定したのか分からない返事を返した。
どこか眠たそうな雰囲気を放っている恋也にルパンは、変わりの無い笑みを浮かべつつ、グラスをデスクに置き、右手で恋也の顎を摘まんだ。
そのままゆっくりと顔を近づけていき、そのまま軽く恋也の唇に振れた。
まだ16歳にもならない少年の唇は、女と全くではないが、確かに未成年と言う柔らかさを持っており、先ほど口につけたウイスキーの味が微かに残っていた。
「……? なっ!」
かあぁと音が出るぐらいに恋也の頬は赤くなっていき、薬の効き目で眠たくなっていたようだが、自分がされたことを理解した途端に、目は覚めていき次第には耳まで真っ赤にさせている。
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