覚えていないのは、騙されてるから(緑)
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から答えた。
『仕事で日本に来たら、おもしれー噂聞いたから調べたら、お前さんに出くわしたってだけ』
『噂?』
聞いた所で特に何も無いだろうと分かっていながらも、恋也は尋ねる。
『中学2年で成績は学内2、だけどマフィアみたいに喧嘩しまくってるって噂』
――やっぱり俺のことか。
呆れてしまって、何も言えなくなっているとルパンの手が離れたのでゆっくりと足を下ろす。
靴下を履き、靴を履いて、右足を気にしながら立っている。
『っで、捜してみたら、丁度噂の人物が一歩的に殴られていたってわけ』
『だからって助ける必要は無い』
恋也の言葉にルパン肩を竦めながら立ち上がり『お前が望むのならば、攫っていっても良いんだぜ?』と告げた。
どこかに連れて行かれると言うより、行動を共にする、と言うほうに聞こえた。
その言葉に期待する訳でもなく、どうせ冗談だろうと思って『連れって行ってくれよ』なんて返答すれば、ルパンは驚いた表情で恋也を見つめては口角を上げた。
『お前がもうちょい大人になったら、世界中に連れて行ってやるよ』
その言葉の意味は、恋也がもうちょっと裏世界に詳しくなったら、世界中に連れて行ってやる。
その言葉をそのまま受け取った恋也は冗談だったな、何て思いながら淡い期待も込めずに頷いた。
『俺の名はルパン三世、覚えておけよ――六条道恋也』
名乗ってもいない名前を口にされ、恋也は何も言い返せないで立ち去っていくルパンを見つめていた。
**
「覚えているなら始めからそう言えよ」
「こういう感じも嫌いじゃないだろ?」
蝋燭の火を消して、電球をつける。
その動作を見ながら赤く腫らした目を手で覆いながら文句を言う。
パイプイスに腰掛けて溜息を吐くのを何度も繰り返した後、ルパンを見つめる。
「本当に連れ回してくれるんだろうな?」
恋也の質問にルパンは口角を上げ、それを返答にした。
ルパンはそのまま煙草に火を点け、咥えた。
「俺は美味い煙草が吸いたいだけだ」
「同感」
恋也もまたルパンのジャケットから煙草を取り出して、1本咥えてマッチで火をつけた。
この世界に年齢なんて関係ない。
「よろしく頼むぜ。相棒」
「あぁ――ルパン」
――俺が欲しかったと気付くのはいつになるんだろうな。
これはルパンが次元と組む前に恋也と出会った話。
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