覚えていないのは、騙されてるから(緑)
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本で粉々にして、意外にも間抜けな依頼主の前から去った。
ルパンとその依頼主がどうなったかは知らないが、路地裏に隠れていればルパンに見つかり、嫌々ながらもアジトに連れて行かれて、手当てをされた。
その後は恋也はいつも通りの日常を繰り返し、ルパンは盗みを働いていたのだが、何故か教えたつもりはないのに、ルパンから端末に連絡が入り、空港まで呼び出され、今に至る。
「違うって、言えば?」
問いに問いで返す。
睨みつけるようにルパンを見つめていればワルサーが突きつけられる。
そして脅すように続けられた。
「この世界はこわーい大人が沢山いてるんだせ?正直に言わねぇと、どうなるか分かってるよな」
ルパンの表情は真剣と言える。
本気で撃つ気はないのだろう。
だが、ルパンが住んでいる世界と恋也が住んでいる世界は違いすぎている。
住んでいる世界に染められている為、恋也が行う脅しよりもルパンの脅しの方が恐怖を与える。
「……分かった、俺の負けだ。確かに俺はアンタを庇った」
恋也の表情はいつもの表情に変わっており、どこかルパンが人を騙す時に似ている雰囲気を漂わせていた。
端末用黒縁眼鏡を外し、木製の机の上に置いて端末を仕舞う。
「何故庇った?」
ルパンの質問に一瞬汗を流して目を逸らそうとすれば、銃口が額に当たって、一度目を閉じて開いたと同時に口を開いた。
「過去に借りを作ったから、返しただけだ」
溜息を吐くように放たれた言葉はルパンにしてみれば、驚きでしかなく目を見開いていた。
ルパンは覚えていないのか、考える素振りを見せているが、一向に思い出したような表情はしていない。
ワルサーのロックを外し、自分の口元で引き金を引くと、ボッと火が現れた。
初めから撃つ気はない事がそこで判明したのだが、恋也は先に煙草を取れよと的外れな事を思いつつ、ルパンのジャケットに手を伸ばした。
腕を掴まれる事も無く、ジャケットの中から煙草を取り出し、1本取り出して、火に近づける。
煙草に火がつけば火が点いているのと反対側をルパンに向けた。
躊躇いもなく煙草を口に咥えたルパンは引き金から手を離し、懐にワルサーを戻す。
「俺はキャバ嬢でもホストでもホステスでもないけど」
ただ文句だけは言って煙草をジャケットのポケットの中に戻す。
「お前も吸うか?」
冗談で問われているのは恋也だって分かっていた。
その冗談に乗るか乗らないかは自分の自由だと考えている恋也は、たまに高校生にふさわしくない行動に出ることもある。
「……やめておく」
酒類は飲むくせに、とルパンは心中で呟きながらも笑みを崩さずに「つれないねぇ」と冗談で返した。
組んでいた脚を下ろして、恋也を見つめる。
そして
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