覚えていないのは、騙されてるから(緑)
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まれていた。
「泥棒がする事なんて決まってるだろ」
だろうな、と言葉を返せば、次元は背中を向けてルパンとは逆方向に歩き出す。
そして数歩歩いたところで立ち止まる。
ゆっくりと振り返る次元に対し、ルパンは焦りなど全く見せておらず、その表情には『かかって来いよ』という余裕な表情が現れていた。
ピチャン、と水が跳ね返った音が微かに響いた。
ピチャン、ピチャン……。
――その刹那。
互いが発砲した音と共に、右腕にかすり傷が生まれる。
弾同士が擦れ合い、心臓に向けて放たれた弾丸は僅かに進行方向を変え、互いの腕にかする。
「銃の腕は確かなようだな」
何度か撃ち合った事はあるが、こんな至近距離で撃ち合ったことは無かったので、互いが互いの銃の腕を改めて理解する。
ルパンの放った言葉に特に返答することも無く、次元はもう一発ルパンに向けて発砲する。
自身の目的を果たすために。
「よっと!」
間一髪と言うところで華麗に弾丸を避けたルパンは閃光弾を使い、一気に奥まで逃げていく。
数秒経ったところで閃光弾の光が消えて、前を見てもルパンはそこには居なかった。
「逃げ足の速い奴だ」
次元から逃げて目的の宝を探していれば、先ほど自分が居た部屋と良く似た部屋を見つける。
――相変わらず、ワケの分からねぇ趣味なことだ。
そして、先ほどと全く同じ箱を見つけて、躊躇いもなく、その箱を開ける。
確かに中には依頼された宝が入っていた。
その宝を懐に仕舞い、その洞窟から出る。
やっぱりと言うか、お決まりと言うか、洞窟の外にはマフィア関係の人間が沢山いて、全員が自分に銃口を向けている。
「よくやってくれたな。宝を出せ」
ルパンは自分が欲しがっていたものではないので、素直に差し出す。
少しでも変な動きをすれば、一気に蜂の巣だろう。
目の前に居る男は黒いスーツにサングラスと言った、端から見ても裏社会の人間と言う格好をしており、宝を本物かどうか確認してから銃を下ろすように命令し「帰るぞ」と部下と思われる集団に声をかけ、スモークが張ってある車に乗って、ルパンの前から消えた。
**
「ふーん」
つまらなそうに端末を弄りながら、目の前に居る男の話を聞いている少年。
黒縁眼鏡をつけており、髪を伸ばしているのか、切るのが面倒なのか、男子しては長い髪をハーフアップにした少年は、端末の画面から目を離さない。
「聞いてるのか?」
「聞いてるのかって、何で俺まで連れて来られないといけないんだ」
不機嫌そうに、画面を見つめながら言う少年はルパンに朝早くに、空港まで呼び出され、何故か勝手にパスポートを作られて、海外に行くことになったのだ。
少年は至って普通とは言えないが、一
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