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FOOLのアルカニスト
予期せぬ再会
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そうではないことは理解できたし、それ以上に難敵であることも分かったからこその結論である。

 そんな卜部の葛藤を余所に徹は、いかに雷鋼の鍛錬が厳しいものかを語る。鍛錬の内容自体はぼかし、主に雷鋼の厳しさについて言及しているあたり、芸が細かい。それに気づきながらも、笑って合わせる卜部。なんとも微妙な雰囲気のまま、車は目的地『業魔殿』へ着いたのだった。

 「よし、着いたぞ。降りな」

 「はい、ここまでありがとうございました」

 「雷鋼の爺さんによろしく言っといてくれ。たまには顔を出すからよ」

 「ええ、勿論です。それは是非、師匠も喜ぶと思います。
 あの、一つだけいいですか?」

 どこか決意を秘めた表情で、徹が呼び止める。

 「なんだ?言ってみろ」

 「貴方には恩義があります。貴方の思惑はどうあれ、俺がいまこうしていられるのは、間違いなく貴方の御蔭です。ですから、これを渡しておきます」

 そう言って徹は卜部に一枚のメモを渡す。卜部が目をやると、それには電話番号らしき番号の羅列があった。

 「電話番号?何のつもりだ?」

 「師匠が俺用に用意してくれた携帯の番号です。ただの一度だけですが、俺の力の許す限りにおいて、無条件にどのようなことでも助力します。まあ、貴方ほどのサマナーには不要かもしれませんが、猫の手でも借りたいときにでも使って下さい」

 思いもよらぬ申し出に、さしもの卜部も驚かざるをえない。あまりにも破格であったからだ。己と同格のサマナーを無条件に味方にできるのだ。それは余りにも大きい助力であった。

 「お前、本気か?俺はファントムだぞ?」

 「ええ、理解した上で言っています」

 徹は迷うこともなく卜部の問いかけに即答した。

 (分からんな、どうにも意図が見えん。何を考えている?)

 「(リャナンシー、お前はどう思う?)」

 「(偽りではないと思います。間違いなく本気で言っていると思われます。ウラベ様の疑念はもっともですが、此度は深読みかと。恐らく、本当に『恩返し』以上の意味はないと思います)」

 卜部はMAG力場を用いて相談するも、返ってきたのは予想外の答だ。こうなると困るのは、卜部である。徹の意図が理解できないのだ。『恩返し』という言葉をそのまま信じられるほど、卜部は純粋になれなかったのだ。

 「どういうつもりだ?何を狙っている?」

 結局、卜部は思考を放棄し、本人に確かめることにした。

 「狙いもくそも恩返し以上の意味はありませんよ。使うも使わないも貴方の自由です。信用できないというなら、それも貴方の選択です。無理強いはしませんよ」

 なんでもないことのように答える徹。そこには誠実さはあっても、嘘偽りを述べている様子
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