予期せぬ再会
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着ていた1着だけだ(雷鋼の仲魔である竜吉公主が術で浄化するので着替えはおろか洗濯の必要すらない)。それも、成長に伴いサイズ変更はあったものの基本的なデザインは変わっていないのだ。5年間も同じ格好で何の不自由もなく生活していれば、徹が己の格好に疑問を持たなくなるも仕方のない事であろう。
「あー、もうよい。公主、こやつを着替えさせよ」
頭痛をこらえるように雷鋼は言うと、その影から静かに人型が現れる。清流を思わせる長い黒髪が印象的な清楚な美女であった。名を『竜吉公主』、西王母と同様に雷鋼が直接契約している仲魔である。水行を極めており、補助や回復・浄化を得意とする。西王母と同様に徹のお目付役であり、家事・仙術の師でもある。徹にとっては、西王母が厳格な母なら、竜吉公主は優しい姉という感じである。
「御意。徹、こちらにおいでなさい」
雷鋼や西王母にはそれなりに反発することがある徹も、竜吉公主には不思議と反発する気がおきない。言われるがままに手を引かれ着替えさせられていく。
「竜姉、自分でできるから」
「あのような格好で外出しようとしたくせによく言いますね。信用できません。黙って着せられなさい」
無駄な抵抗を試みるも、ぴしゃりと言われ黙るほかない徹。その様は、姉に叱られた弟のようであった。
「これでよし、いい男になりましたよ徹。どこへだしても恥ずかしくありません」
着替えさせ終わり、少し距離をおいて徹を見て、腰に手を当てて満足気に頷く竜吉公主。その様子に、徹はなんというかいたたまれない気持ちになるのだった。
いざ出かけようとして出鼻をくじかれたり、竜吉公主に凹まされたりとトラブルはあったものの、徹の初めての外出は概ね上手くいっていた。(あらかじめ雷鋼から話がいっていたらしい)葛葉のマダム銀子が芝浜コアで待ち構えていたのは大いに驚かされたが、挨拶&顔見せ自体は問題なく終わった。雷鋼から注意を受けていたいただけに、最大限の警戒をしていたのだが、何もなくてかえって拍子抜けしたほどであった。その際、チェフェイが「気に入らない女狐です!」と憤っていたが、「お前が言うな」と徹が思ってしまったのは内緒である。
武器屋である『ビデオマッスル』では、レンタルビデオショップで真剣や銃火器が売られている現実のシュールさに驚かされ、特殊道具屋である『オートマータ』ではアンティークドールと店主の不気味さになんとも思わない己に逆に驚かされ、薬屋である『ドラッグ・ギア』がまんま薬局なのにあきれ、食事をした『タイ料理サワムラ』では、店主の胡散臭さに閉口し、『生体エナジー協会』では店主が明らかに人間ではないことに気づいてしまったり、ゲームにはなかったマッカ(悪魔たちが使う魔界のお金)の買取もやっていることに
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