予期せぬ再会
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ったわけだが。
「ほう、広坊がのう。やはりファントム構成員として登場するのか?」
「……いや、妻子を殺された復讐者としてだ」
正直に答えるかどうか、徹はかなり迷ったが、隠し立てしたところで、仙術を極め、また年季も違う雷鋼の前では無意味だと悟り、僅かな逡巡と共に答える。
「そうか、やはりのう。いつかはそうなるじゃろうと思っておったわ。あの愚か者めが!」
苦虫を噛み潰したかのような表情で吐き捨てる雷鋼。どうやら、彼自身卜部の辿る運命を薄々予見していたようだ。卜部自身の行いから仕方のないことと理解しているようであるが、それでも内心忸怩たるものがあるようだ。
「流石の師匠も、卜部のおっさんのことは心配か?」
出会いのときといい、今の態度といい、両者には深い繋がりがあるのだろうと徹は思い、揶揄するように問う。
「ふん、あの愚か者の心配なぞ誰がするものか!儂はあ奴の所業のつけを一緒に払わされることになるであろう妻子が哀れでならんだけじゃ!くだらぬことを言うでない!」
しかし、予想に反して返ってきたのは強烈な否定であった。まあ、素直じゃないということなのかもしれないが、それでも卜部に対しての心配がないというのは真実のようだ。それが、卜部に対する心配するまでもないという信頼によるものなのか、いい加減愛想を尽かし心配する気もないのか、徹には判断がつかない。もっとも、その一方で両者の間には、他者には理解できぬ繋がりがあるのだと徹が確信するには十分であったが。
「師匠も素直じゃないな……。まあ、いいや。そんなことより、今まで異界巡り以外で外出を許さなかったあんたがどういう風の吹き回しだい?いくら合体のためとは言え、俺に一時的とはいえ自由を与えていいのか?」
今更ではあるが、今日この時まで徹の外出は著しく制限されていた。唯一の外出機会である異界探索でさえも、縛り上げられ放り込まれるという形をとっており、事が済めばまたもや強制連行という念の入りようである。今日に至るまで、自身の所在地がどこか、日本であるということくらいしか把握していなかったのであるから、それがどれほど徹底したものであったか理解できるだろう。まあ、ファントムのお膝元であるという事情を考えれば、それもわからないでもないが、なぜ今になって許すのかという疑問が残る。徹が今現在のLVになったのはもう半年も前だし、仲魔の枠が埋まったのも同じ時であったからだ。
「今のお前ならファントムの連中に遭遇しても、早々遅れをとることはないじゃろうし、今のお前は儂の下から逃げる気もあるまい?」
「なるほどって……今更だな師匠。逃げる気なんて正式な弟子になった頃には完全に失せてたよ。そうさせたのは他ならぬあんただろうに」
そう、今で
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