予期せぬ再会
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合体魔法を成功させて以来、さらに1年もの修練を経て徹はとうとう成し遂げた。一時期は不可能ではないかとも思えた直接契約下のチェフェイを召喚しつつ、さらにゴブリンをも同時召喚して、全力戦闘を行うという難行を。
とはいえ、それ程自慢できることでもないと徹自身は思っていた。なにせ、自前で制御しているのはチェフェイだけであり、ゴブリンの制御はCOMP任せにしてようやくであり、実質的に使役できるのは未だに2体。すなわち、なりたてのサマナーとなんら変わるところがないのだから。
まあ、それでも徹にとっては喜ばしいことに変わりはなかった。師である雷鋼からの指示をきくまでは。
「ふむ、そろそろいい時期じゃな。徹よ、紹介状を書いてやるから、ちょっと行って悪魔合体してこい」
徹のこの1年の成果を見届けた雷鋼は、突然そんなことを言ってきたのだった。徹はこれに自分でも驚く程に内心で動揺した。デビルサマナーである以上、悪魔合体は戦力強化の為に必要不可欠なものであり、いずれしなければならないことだと覚悟していたどころか、むしろ早くやってみたいと思っていたにも関わらずだ。
いや、正確には覚悟しているつもりだったというべきかもしれない。はっきり言えば、徹は理解していなかったのだ。悪魔合体というものの本質を。そして認識していなかったのだ。悪魔合体によって、何を得、何を失うかを。
「悪魔合体?構わないけど、そう都合よく合体施設があるものかよ?」
内心の動揺を押し殺して問う徹に、雷鋼はなんでもないことのように予想外の爆弾を落とした。
「当然じゃろう。ここはファントムのお膝元じゃぞ。合体施設どころか、サマナー御用達の施設が目白押しじゃ」
「なっ!」
思わぬ発言に絶句する徹。同時に、よく考えてみれば、彼は今更ながらにここがどこかすら把握していないことに気づいたのだった。だが、幸か不幸かファントムのお膝元とといえば、彼には1つ心当たりがあった。
「もしかして、その合体施設って業魔殿ていう名前で豪華客船だったりするか?」
「ほう、よく知っておるな。ファントムのお膝元という情報からそこまでいきつくとは、もしやファントムを題材にしたゲームでもあったか?」
「ここ、天海市だったのかよ?!ああ、師匠の言うとおりあったよ。卜部のおっさんも、そのゲームの関係で知ってたんだよ」
『デビルサマナー ソウルハッカーズ』の舞台となる全てがコンピュータで管理され、ネットワークで接続された情報環境モデル都市、それが天海市だ。徹自身、透真だった頃にプレイし、これを皮切りに女神転生をはじめとした悪魔を題材にしたゲームに嵌っていたきっかけとなった作品だけに思い出深い。
まあ、まさか己がその舞台にいようとはさしもの彼も夢にも思わなか
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