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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第八話:少女の闇
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たが、二週間経って帰ってきたのは父自慢の剣を納めていた鞘だけだったという。

 父の死からしばらくして、彼が最後に訪れた場所がこの奥にある地下街だということを突き止めた少女は、父が最も大事にしていた剣を取り返そうと父のコレクションから装備を整えて件の地下街へ向かった。だが、元々戦いとは無縁の生活を送っていた彼女だ。レベルの高いmobに勝つことができず、やむなく自力での奪還を諦め、冒険者を頼ることにしたらしい。


「ふむ、ではオレ達は君の父の形見である剣を取り返してくればいいんだな?」

「はい。どうか、どうかお願いします…!」

「いいだろう。ものはついでだ。お前の依頼を受けよう。いいよな、ユメ」

「まあ、当初の目的もこの先の地下街だから大丈夫だよ」

 相棒の了承を得たレンは、すぐ様クエスト受注の手続きを完了させる。

「よし。剣は必ずオレ達が取り返す。君は安心してここで待っていてくれ」

「は、はい! ありがとうございます!」

 キーワードを言わなければ反応を示さないNPCが、なぜ頬を赤く染めて頭を下げるのだろうか。そんな機能が必要なのだろうか! と頬を膨らませてユメは内心叫ぶ。これでは少女ーーユーリがレンに照れているみたいで非常に気分が悪い。

 先程の恐怖はどこへやら、NPC相手に謎の対抗心を燃やしたユメはやる気に満ち溢れていた。


「早くしないと置いて行くぞ、ユメ」

「あ、待って待って!」

 目に炎を宿し拳を握るユメを置いてさっさと先に進んでしまうレンは、やはりそういう感情には疎いに違いなかった。



† †



 『行かないで』と、伸ばした手を覚えている。

 それは笑ってしまう程震えていて。けれど手を伸ばす少女は必死そのもので。

 掴みかけた手はすんでの所で空を切り、そして離れていってしまう。

 少女は、一人になった。



to be continued
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