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ソードアート・オンライン 少年と贖罪の剣
第八話:少女の闇
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中に吊ったエスピアツィオーネの柄に触れていた。

「いや、なにかいた気がしたんだが。気のせいか…?」

「ま、まさかそれって…お、お、おば…!」

「…電子世界に幽霊がいると思うか?…いや待てよ、可能性がない訳でもないな……」

「そういうのやめてよぉ……」

 とにかく進もう、と先を促すレンに、涙目になったユメが続く。
 心なしか、二人の足取りは先程より重い。

 どれくらい経っただろうか。
 レンが常に警戒しながら進む為に会話もなく、またモンスターと戦闘になることもなく暗闇の地下道を進み続けて、ユメの涙腺と忍耐が限界になった、その時であった。

「あのぉーー……」

 音もなく、また気配も感じず、突如背後からかけられた遠慮がちな声。

「でっ……」

「で?」

 それにレンは素早く振り返り、

「出たぁぁぁぁあ!?」

 ユメは限界を迎えた。



† †



「まあ、その、なんだ? 怖かったのは分かったからもう泣くな」

「だって、気配もなにも感じなかったんだよ!? 索敵スキルにもひっかからないし! タチが悪いよ!」

 静寂そのものだった地下道にユメの大声が響き渡る。
 涙目でまくし立てるユメをどう扱ったものかと持て余していたレンは、現在の状況を作り出した本人を横目で見る。

 所在無さげに立っているのは、黒い髪を短く切り揃えた小柄な少女。背中に吊っている剣や薄い生地の装備から見ると、それ程強そうには見えなかった。

「はいはい落ち着け。もともと相手に悪気はなかったんだ。というか、NPCにそこら辺を考える親切心はない」

 そう言って再び見ても、少女は反応を示さない。明らかにプレイヤーではない反応に、次第にユメも落ち着きを取り戻していった。

「それで、オレ達になんの用だ?」

「あ、はい。実は冒険者様にお願いしたいことがありまして」

 NPCーーノンプレイヤーキャラクターは、カーディナルシステムに登録されている初期システムの通りにしか動くことはできない。
 故に、今のレンが言った「質問」には答えを返し、ユメの「詰問」には反応を返さなかった。

「お願いしたいこと?」

「はい。実はーー」

 普通NPCはモンスターの出てくるフィールドには余りいない。
 
 いるとするならば、それは何らかのクエストが発動した時くらいだ。

「ーーこの奥にいる亡霊王に奪われた、亡き父の形見を取り返して欲しいのです」



† †



 少女から与えられたクエストはこうだ。

 彼女の父は熱心なトレジャーハンターであり、多くの宝や剣を所有していた。
 その日もお宝を見つけに愛用の剣を吊って家を出た父だっ
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